KAB-studio > Machician > 第5話 待逢として (17)
Machician - 第5話 待逢として (17)
「子供を殴るなーっ!!」
 突然の声に林田は振り返る。そこにはうめ紫恋、そして息子がいた。
『おまわりさん!』
「なんてアンラッキーな……」
『父さん! いい加減投降してください!!』
『ふん』
 林田が音もなく近づく。
『!?』
 思わず手をだす巡査、だがその手が目にも止まらぬ速さで捻られる。
『ふっ』
『あっ、あ〜〜〜〜〜〜〜〜』
 そのまま体ごと回転し、真っ逆さまに山を転がり落ちていった。
「や、役立たず……」
『おまわりさん!!』
「!! や、やったわね……」
 落ちていく林田巡査から父・林田へと視線が移るに従って、うめの声のトーンが落ちていく。
 目の前に、ワース
 林田が手を振る。
 空気が張り裂ける音。目にも止まらぬ速さで振るわれた手の甲がうめの頬を弾き飛ばす。
うめさん!!』
 うめが飛んでいく。宙を舞い、木に当たって、まるで人形のように落ちていく。
「あ……」
『ふん、お前もどいて……ろ……』
 声が、詰まる。
 喉が、枯れる。
 ワースを着て、起きるはずのない、身体の不調。
 紫恋が。
 林田を。
「死ね」
 睨み付ける。
『っ……』
 こいつらは……親子でッ……。
 紫恋が、一歩踏み出す。
 林田が、一歩下がる。
 紫恋が、二歩目を踏み出す前に。
「姉さん!!」
「え……」
 背中から抱きしめる高士に、紫恋は我を取り戻す。
「あ……」
「姉さん、ごめん、お願いだから……」
 そして、紫恋林田の間に滑り込む神主
『賢二!』
「お前の相手は、私がしよう」
 検索