「毎年の事とはいえ……」
地元の人間とはいえ、合理主義者の紫恋にとって、それは無意味な行為に思えた。
神社の境内の端、鳥居の向こう、車道へと下る長い石段。
すでにその脇には人だかりができており、今か今かと待ちわびている。
「わっしょい!」
「わっしょい!」
おなじみのかけ声と共に男達が神輿をかつぐ。鳥居をくぐり、その先、急な石段へとたどり着く。
下を見れば、それは、真っ逆さまに落ちると錯覚してしまいそうな程の、角度。
そこを。
「わっしょい!」
「わっしょい!」
かけ声と共に降りていく。
ゆっくりとではあるが、その斜めの御輿を数十人の男達が支え、急な斜面を下っていく姿は様になっており、まわりの群衆がかけ声に合わせて手を叩く。
「わっしょい!」
「わっしょい!」
「やっぱわかんないわ……」
無茶なことをすることの意味はなんとなくわかっても、それでも、肯定する気にはなれなかった。
「と、仕事仕事」
紫恋はカメラをシーバリウに向ける。
御輿をかつぐ中では後ろの方ではあるが、それでも、十分な加重が掛かっているはずだった。
「……」
思わず、モニターから視線を外し、直接シーバリウを見る。
180近い背丈と色白の肌は、一見、華奢に見える。
だが。
全く無駄のない引き締まった体から、筋肉と一目で分かる膨らみが腕や足に出ている。
芯の通った体躯が、御輿の重量を確実に支えている。
鍛え上げられた肉体は、屈強な男達の中でも決して見劣りしない。
むしろ。
「シーバリウ様ー!」
様ぁ!?
群衆の中に、学校の後輩らしき人影があった。
「まぁ確かに王子様だから様もありだろうけど……」
うめ、あんた結構恨まれてるかもよ……。
地元の人間とはいえ、合理主義者の紫恋にとって、それは無意味な行為に思えた。
神社の境内の端、鳥居の向こう、車道へと下る長い石段。
すでにその脇には人だかりができており、今か今かと待ちわびている。
「わっしょい!」
「わっしょい!」
おなじみのかけ声と共に男達が神輿をかつぐ。鳥居をくぐり、その先、急な石段へとたどり着く。
下を見れば、それは、真っ逆さまに落ちると錯覚してしまいそうな程の、角度。
そこを。
「わっしょい!」
「わっしょい!」
かけ声と共に降りていく。
ゆっくりとではあるが、その斜めの御輿を数十人の男達が支え、急な斜面を下っていく姿は様になっており、まわりの群衆がかけ声に合わせて手を叩く。
「わっしょい!」
「わっしょい!」
「やっぱわかんないわ……」
無茶なことをすることの意味はなんとなくわかっても、それでも、肯定する気にはなれなかった。
「と、仕事仕事」
紫恋はカメラをシーバリウに向ける。
御輿をかつぐ中では後ろの方ではあるが、それでも、十分な加重が掛かっているはずだった。
「……」
思わず、モニターから視線を外し、直接シーバリウを見る。
180近い背丈と色白の肌は、一見、華奢に見える。
だが。
全く無駄のない引き締まった体から、筋肉と一目で分かる膨らみが腕や足に出ている。
芯の通った体躯が、御輿の重量を確実に支えている。
鍛え上げられた肉体は、屈強な男達の中でも決して見劣りしない。
むしろ。
「シーバリウ様ー!」
様ぁ!?
群衆の中に、学校の後輩らしき人影があった。
「まぁ確かに王子様だから様もありだろうけど……」
うめ、あんた結構恨まれてるかもよ……。