「……こっちに来てるな」
「ああ」
APであろう、跳んでいった白衣は、麦わら帽子の男に近づこうとしていたが、立ち止まり、逆に格納庫の方へと戻ってきていた。
音は、聞こえなかった。
「危ない!」
ジャージが梅を抱き寄せる。二人の姿が重なった瞬間、遠近感が狂い、0.5秒後に白衣がうめの脇をかすめて格納庫の奥へと跳んでいった。
「え?」
背後で鈍い音が響く。
「北山さん!!」
「う、あ」
格納庫の奥の壁を、うめき声を上げて白衣がずり落ちていく。口からは、血が流れていた。
うめの側にいた白衣の一人が駆け寄り、もう一人はドアを抜けて格納庫の外へと出ていた。その出口から、逆にギャラリーの何人かが覗き込んでいた。
「うめ、私達は逃げた方がいいよ」
「でも、あれって王子達なんだよね」
「! そうなんだけど」
今の自分ではどうすることもできない。シーバリウ達を助けるどころか、うめを守ることすら、できるとは思えなかった。
「でも!」
ジャージは無理矢理うめを押していく。が。
「来た!」
麦わら帽子が格納庫へと飛び込んでくる。
「#039!」
飛び込んできた男は着地し、音を立てて床を滑る。止まった時、すぐ側に白衣が二人。一人は目を剥いて倒れていた。
「#039、何をやっているんだ!」
その声に男は振り向く。白衣の顔は、それまでの赤から白へと変わる。
「逃げなさい!!」
その声に反応して、白衣の男は転がるように跳び退く。
直後、麦わら帽子の男が跳ね、白衣の背後の壁を蹴りつけていた。
「……っ」
「……」
ジャージは、動けないでいた。
圧倒的な戦力差。
恐らく「犯人」であろう、相手の立場。
だが何より。
左脇で震えるうめが、何よりも心配だった。
「ああ」
APであろう、跳んでいった白衣は、麦わら帽子の男に近づこうとしていたが、立ち止まり、逆に格納庫の方へと戻ってきていた。
音は、聞こえなかった。
「危ない!」
ジャージが梅を抱き寄せる。二人の姿が重なった瞬間、遠近感が狂い、0.5秒後に白衣がうめの脇をかすめて格納庫の奥へと跳んでいった。
「え?」
背後で鈍い音が響く。
「北山さん!!」
「う、あ」
格納庫の奥の壁を、うめき声を上げて白衣がずり落ちていく。口からは、血が流れていた。
うめの側にいた白衣の一人が駆け寄り、もう一人はドアを抜けて格納庫の外へと出ていた。その出口から、逆にギャラリーの何人かが覗き込んでいた。
「うめ、私達は逃げた方がいいよ」
「でも、あれって王子達なんだよね」
「! そうなんだけど」
今の自分ではどうすることもできない。シーバリウ達を助けるどころか、うめを守ることすら、できるとは思えなかった。
「でも!」
ジャージは無理矢理うめを押していく。が。
「来た!」
麦わら帽子が格納庫へと飛び込んでくる。
「#039!」
飛び込んできた男は着地し、音を立てて床を滑る。止まった時、すぐ側に白衣が二人。一人は目を剥いて倒れていた。
「#039、何をやっているんだ!」
その声に男は振り向く。白衣の顔は、それまでの赤から白へと変わる。
「逃げなさい!!」
その声に反応して、白衣の男は転がるように跳び退く。
直後、麦わら帽子の男が跳ね、白衣の背後の壁を蹴りつけていた。
「……っ」
「……」
ジャージは、動けないでいた。
圧倒的な戦力差。
恐らく「犯人」であろう、相手の立場。
だが何より。
左脇で震えるうめが、何よりも心配だった。