『巻き添え食らっちゃう、みんな掴まって!』
ジャージが手を広げる。
「駄目、まだうめが!!」
うめは少し遠くから、石人とワース2人の戦いを観戦していた。その口元には、笑み。
うめが紫恋を見る。その笑みに、紫恋は背筋が凍る。それは、うめの顔では、なかった。
だからこそ。
「うめ! うめ、何やってるの!!」
その声が聞こえているのかいないのか、まったく意に介すことなく両腕を上げる。
「私を主に」
石人が地面を叩きワースがそれを必死に躱した瞬間、石人の背から、赤い玉が現れた。
それはうめの元へと飛来し、その額にはまる。
「う、うめ……」
うめは手を下ろし、その背後に、黒い楕円が生まれる。
『! 待っ』
止める間もなく、紫恋は走り出した。
「危険です!! 紫恋さん、戻って!」
だが、紫恋にはその声も、周りの戦火も、届いていなかった。
うめが、紫恋を一瞥し、背を向ける。
ただ。
ただ、目の前のうめが、うめの背中が消えていく、それだけを追って、もつれそうになる足で、ただひたすら、ひたすらに。
でもそれは、はなから届くはずのない距離。二、三歩追ったときにはすでに、うめの姿は閉じつつある黒い円の向こうに消え、
「うめぇ!!」
その声を無視して、黒い円は、閉じた。
「っ……」
紫恋は足をもつれさせ、崩れ落ちる。
「え」
その体を、緑色の帯が支えた。
そして、目の前を二条の帯が横切り、それは何もない空間へと突き刺さった。万力が如き力によって、緑の帯が黒い円をこじ開ける。
「うっ!?」
紫恋の体が浮く。体を縛る帯が引き上げ、そして、円の中へと引き込んだ。
『な』
「っ!」
その帯はシーバリウとジャージを巻き上げる。そして、緑の塊と共に、黒い円へと入っていった。
『なんだ、何が起こった!?』
『知るか! それより応援はまだかよ!』
円は再び閉じ、石人と戦う2人のワースだけが、残された。
続く。
ジャージが手を広げる。
「駄目、まだうめが!!」
うめは少し遠くから、石人とワース2人の戦いを観戦していた。その口元には、笑み。
うめが紫恋を見る。その笑みに、紫恋は背筋が凍る。それは、うめの顔では、なかった。
だからこそ。
「うめ! うめ、何やってるの!!」
その声が聞こえているのかいないのか、まったく意に介すことなく両腕を上げる。
「私を主に」
石人が地面を叩きワースがそれを必死に躱した瞬間、石人の背から、赤い玉が現れた。
それはうめの元へと飛来し、その額にはまる。
「う、うめ……」
うめは手を下ろし、その背後に、黒い楕円が生まれる。
『! 待っ』
止める間もなく、紫恋は走り出した。
「危険です!! 紫恋さん、戻って!」
だが、紫恋にはその声も、周りの戦火も、届いていなかった。
うめが、紫恋を一瞥し、背を向ける。
ただ。
ただ、目の前のうめが、うめの背中が消えていく、それだけを追って、もつれそうになる足で、ただひたすら、ひたすらに。
でもそれは、はなから届くはずのない距離。二、三歩追ったときにはすでに、うめの姿は閉じつつある黒い円の向こうに消え、
「うめぇ!!」
その声を無視して、黒い円は、閉じた。
「っ……」
紫恋は足をもつれさせ、崩れ落ちる。
「え」
その体を、緑色の帯が支えた。
そして、目の前を二条の帯が横切り、それは何もない空間へと突き刺さった。万力が如き力によって、緑の帯が黒い円をこじ開ける。
「うっ!?」
紫恋の体が浮く。体を縛る帯が引き上げ、そして、円の中へと引き込んだ。
『な』
「っ!」
その帯はシーバリウとジャージを巻き上げる。そして、緑の塊と共に、黒い円へと入っていった。
『なんだ、何が起こった!?』
『知るか! それより応援はまだかよ!』
円は再び閉じ、石人と戦う2人のワースだけが、残された。
続く。