「ったく、お前は体を乗っ取られたという危機感がないのか?」
『んー、なんとなくその必要はないのかな、って』
「根拠は?」
『なんとなくは根拠じゃないの?』
「ないだろ」
うめは石柱を見上げ、飛び上がる。
『あなたのこと、なんとなく親近感わくんだよねー』
「感覚的には理解しているということか。私はお前だ」
石柱の一番上へと上がり、再び座る。
『私?』
「正確にはお前の中にある別人格だがな。ヒトの脳にある普段現れない人格、つまり私がこいつの魔力に引っ張り出されたんだ」
と言って、額の赤い玉を指さす。
『それって石人の中にあったやつだよね、あの神社で見掛けたような……』
待逢のもうひとつの神社で見た、石人の芯。
『思えばあれから何もかも始まったんだよねー、これがなければ……あー!』
「なんだ?」
『で、結局あんたは石人なの!?』
「聞いてなかったのか? 私はお前の中の人格だ。ただ、核の記憶も渡されたから石人といえなくも――へぶっ!?」
うめは、うめ自身を殴っていた。
『痛!』
「当たり前だ! なんだ一体!」
『だって! だってあんたがいなきゃなんにもなんなかったんだよ!? 石人が現れなきゃ、私は足折らなかったし、紫恋に羽根なんて生えなかったし、王子だって倒れなかったし、あの変な軍隊だって襲ってこなかったし、今だって、今だって!! 痛、痛!』
自分で自分を殴り自分で痛がる。
「馬鹿だろお前」
『うがー! 馬鹿って言う奴が馬鹿なんだー!』
「お、今うまいこと言った」
『茶化すなー!』
「……はぁ」
右手で、殴りつける左手を押さえる。
「しかし、左手だけ乗っ取り切れてないとはな。私の位置が問題あるのか?」
『そんな簡単に乗っ取られるかっつーの。……ってゆーか、私なんで乗っ取られたの?』
『んー、なんとなくその必要はないのかな、って』
「根拠は?」
『なんとなくは根拠じゃないの?』
「ないだろ」
うめは石柱を見上げ、飛び上がる。
『あなたのこと、なんとなく親近感わくんだよねー』
「感覚的には理解しているということか。私はお前だ」
石柱の一番上へと上がり、再び座る。
『私?』
「正確にはお前の中にある別人格だがな。ヒトの脳にある普段現れない人格、つまり私がこいつの魔力に引っ張り出されたんだ」
と言って、額の赤い玉を指さす。
『それって石人の中にあったやつだよね、あの神社で見掛けたような……』
待逢のもうひとつの神社で見た、石人の芯。
『思えばあれから何もかも始まったんだよねー、これがなければ……あー!』
「なんだ?」
『で、結局あんたは石人なの!?』
「聞いてなかったのか? 私はお前の中の人格だ。ただ、核の記憶も渡されたから石人といえなくも――へぶっ!?」
うめは、うめ自身を殴っていた。
『痛!』
「当たり前だ! なんだ一体!」
『だって! だってあんたがいなきゃなんにもなんなかったんだよ!? 石人が現れなきゃ、私は足折らなかったし、紫恋に羽根なんて生えなかったし、王子だって倒れなかったし、あの変な軍隊だって襲ってこなかったし、今だって、今だって!! 痛、痛!』
自分で自分を殴り自分で痛がる。
「馬鹿だろお前」
『うがー! 馬鹿って言う奴が馬鹿なんだー!』
「お、今うまいこと言った」
『茶化すなー!』
「……はぁ」
右手で、殴りつける左手を押さえる。
「しかし、左手だけ乗っ取り切れてないとはな。私の位置が問題あるのか?」
『そんな簡単に乗っ取られるかっつーの。……ってゆーか、私なんで乗っ取られたの?』