5. 着色
 
2コマ目  
■色塗り
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 主線が描けたら着色作業に入ります。
 着色は何の面白味もない単純作業です。ほとはーの場合、色は固定なので「どんな色で塗ろうかな」という楽しみすらありません。完全なワークフローをこなすだけです。
 ですが、そのワークフローが固定化されており、そしてそのために色々な下準備をしているからこそ、フルカラーの4コママンガを週1本提供できるわけです。ここは我慢して、こつこつと作業することにしましょう。
 
主線レイヤーを複製して「主線 のコピー」レイヤーを作ったところ。  
■枠付きレイヤーとの結合
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 着色する前に着色用レイヤーの準備をします。ちょっと作業がややこしいので注意してください。
 まず「主線」レイヤーを複製します。「主線」レイヤーの上に「主線 のコピー」レイヤーが作られます。
 次に「主線」レイヤーと「主線 のコピー」レイヤーを入れ替えます。「主線」レイヤーが上、「主線 のコピー」レイヤーが下に来るように入れ替えてください。
 最後に「主線 のコピー」レイヤーを「下のレイヤーと結合」してください。すぐ下に「色」レイヤーを用意してあるので、このレイヤーと「主線 のコピー」レイヤーが結合することになります(レイヤー名は「色」になります)。
 
 ここでのミソは、「色」レイヤーです。
 このレイヤーにはあらかじめ4コマの枠が引かれています。つまりこのレイヤーと「主線 のコピー」レイヤーを結合することで、主線と枠が結合されます。これが、着色の省力化に大きく貢献します。
 
スウォッチ  
■色見本
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 次はスウォッチ( Photoshop 7.0 以前は「色見本」)から色を選びます。
 ほとはーでは全キャラ各色固定にしているため、ほとんどの色をスウォッチに登録してあります。これは面倒でも必ずしておきましょう。以前描いたものからスポイトで取ると、エッジやレイヤーの濃度等で色が変わる可能性があります。省力化の観点からも、最初は面倒でしょうけど必ずスウォッチに色を登録しておきましょう。
 
髪の毛の「切れ目」を閉じたところ(主線レイヤーは非表示にしてあります)。  
■色指定
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 スウォッチから色を選んだら、細めのブラシ(たいがい4ピクセル)で着色する範囲を囲むように描きます。良くある、セルアニメの色指定をする時に色鉛筆で描くような感じです。
 ただし、主線が描かれているところは描く必要はありません。そう、着色レイヤーにはすでに主線があるからです。主線レイヤーを非表示にしてみればわかると思います。このおかげで、主線で描いたところをもう一度描く、という2度手間を避けることができます。
 描いたら、描いた線と主線とで「着色したい領域」を囲んでいるか確認しましょう。主線と主線の切れ目はちゃんと閉じておかないと、範囲選択できないからです。
 
髪の毛を範囲選択して塗り潰したところ(主線レイヤーは非表示にしてあります)。  
■塗り潰し
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 色指定で塗り潰したい領域を囲んだら、塗り潰します。
 まず自動選択ツールを選び、塗り潰す領域の中でクリックします。領域がちゃんと閉じられていれば、その領域が選択範囲になるはずです。なっていなければ範囲選択を解除して、切れ目を閉じるようにしましょう。
 次にアクションの「選択範囲(3)塗り潰し」を選びます。このアクションは「選択範囲拡大(3ピクセル)」→「前面色で塗り潰し」→「範囲選択解除」をします。つまりこのアクションを実行することで範囲選択より大きめに塗り潰します
 最後に、ちゃんと塗り潰したかどうか確認します。現在の問題点なのですが、塗り潰す領域が「とんがっている」と、ちゃんと範囲選択できず、塗り残してしまいます。そういった箇所をブラシで塗りましょう。
 
 この方法は、塗り方としてはです。色と色の境界線がギザギザになってしまいます。そのため、ちゃんとしたイラストを描く場合にはこの方法は行いません。4コマだから、制作の手間を減らすことを重視したからこその選択です。これがいや、という場合にはやめた方がいいでしょう。
 ちなみに、実際には主線との境界線もヒドいことになっていますが、「主線」レイヤーが「色」レイヤーの上にあるので、このギザギザはちゃんと隠れるようになっています。
 
着色完了  
■さくっと塗り潰しましょう
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 あとはこれを繰り返すだけです。一度描いた領域はそのまま範囲選択の「壁」に使えるので、さくさく塗り潰せると思います。
 また、4コマ目は3コマ目を複製しました。パプリカの立ち位置が異なるので2回に分けてコピーしました。細かい微調整が必要ですが、ちゃんと塗るよりはずっと楽でしょう。
 
サンプルD(着色まで) 3.08MByte
 
 今回の絵は30分ほどで描けました。
 この「主線を利用した塗り潰し」を使うと、さらに時間が掛かります。実際、「外伝1」でトーンを貼る場合にはこの方法が使えなかったため非常に時間が掛かりました。この方法は「範囲選択のための線」がそのまま「塗り潰し」になってくれるからこそできることなのです。
 この方法がなければほとはーはあり得なかったでしょう。4コマを描いていて「着色に時間が掛かる!」という方は是非導入してみてください。
 
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[COLUMN] フルカラー? セル塗り? トーン? グレー?
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 ほとはーはカラーですが、省力化するためにセル塗りしています。ここでは他の方法についても見てみましょう。
 
・フルカラー
 グラデーションやエアブラシをふんだんに使った描き方。
 たぶん4コマには向いていません。あまりに時間が掛かりすぎるので。
 でも絵に自信があるならこの方がいいかもしれません。また、僕はサラリーマンなので時間がありませんが、時間のある学生時代ならこれもアリでしょう。
 
・セル塗り
 アニメのセル画を塗るように、色をくっきりと分ける描き方。ほとはーの描き方です。
 色が固定化されているので完全マニュアル化できます。たぶんアシスタントに頼んだりもできます。僕自身は、ウェブで4コマをするならこれが一番だと思います。
 ……が、もし将来印刷物として出す予定なら、やめた方がいいかも……カラーをそのままグレー化すると結構みっともないです(汗)。
 
・トーン
 プラグインを使ったり専用ツールを使ってトーンを貼る方法です。画面はグレーになります。
 これはウェブ用には向いてません。拡大・縮小をするとモアレが出てしまうため初めから原寸で描くしかありませんし、範囲選択に手間が掛かります。何より白黒の絵をモニターで見るとかなり映えません。白黒は紙の質感があってこと、だと思います。
 ただ、印刷物として出すのなら別です。むしろ、コミックスや同人誌で出すことを前提にトーンで描いて、それを簡易広告としてウェブで出す、というのも方法のひとつでしょう。
 
・グレー
 灰色のブラシで描く方法です。
 この方法はおおざっぱで簡単そうに見えて、思った以上に面倒です。範囲選択をせずに描くと簡単にはみ出ますし、「色」がない分、グレーの濃淡だけで表現しなければなりません。
 ただ、たとえば鉛筆描きのような主線であれば、このグレーが一番映えると思います。趣深い鉛筆線と淡いグレー……実は、こういう組み合わせは印刷は苦手ですし、スキャンも難しいため、こういう絵をPCで直に描くというのは結構いいかもしれません。
 慣れれば比較的省力化もできますし、ほとはーみたいな「くっきりはっきり」な絵が嫌い! という方は挑戦してみてはいかがでしょう。
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