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風雅、舞い - 第十一章 AP (22)
「予算通ったねー」
 会議室で左が言う、その声は明るい。
「それにしてもこの額は……」
 スクリーンに表示された情報に智子は溜息をつく。
「兵器開発予算としてはまっとうな数字だよ。それに、これで政府のお墨付きが得られたことになるから、これからは自衛隊全軍を相手にする気でないと」
「自衛隊……」
「そのくらいなんとかなるよ」
「何言ってるんだ、ミサイルの迎撃練習なんかしたことないだろ?」
 少年の軽口に釘を刺す。
「だから、あの人達を呼んだんですか」
「まさか」
 机を指でとんとんと叩く。
「そうか……それが問題なんだ」
「?」
「先生、監視体制は整っているんだよね」
「はい」
 画面が変わる。天地生物科学工業の空撮写真にグラフが重ねられている。
「ここ最近これだけの機材が搬入されています。これから製造されるのだとすれば、あと1、2ヶ月は掛かると予想されます」
「じゃ、20日後ってとこかな」
「ずいぶん早いですね」
「いや、別の話」
 机を叩く指が止まり、左はにやりと笑う。
「ナンバーワン、決めてみるかな」
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