「重っも!」
使用目的が全く理解できそうもない機材を両手で抱え、舞は斜面を登っていく。
「きっつー!!」
口は常に動いている。動かしていないと、集中できない。
意識は全身を駆け巡り、足先から指先へと何度となく走査する。筋肉の状態を常に把握し、必要な物質を供給、老廃物を排除する。断裂する組織が見つかれば周囲の筋繊維で補いつつ修復を行う。身体という工場をフル稼働させるため、監視の目を休ませることはない。
「っ!」
視線を向けていない場所が、ほころぶ。
骨が軋み、たわみが全身へと働き、バランスを崩してよろける。
足を下げ、風を起こし、姿勢を立て直す。水蒸気を多く含む密林の空気は、舞の意識通りに動いていた。
「ふぅ……う」
舞が身体を反り、その側を雅樹が登っていく。舞よりも大きな機材を、軽々と持ち上げていく。
「そこまで違うの!?」
雅樹は一瞥して、丘を登っていく。舞もそれを追って、限界以上の負荷を掛けつつ登っていく。
荒い呼吸を整えつつ、頂上の雅樹を見る。キャスターを押して地下へと降りていく智子が僅かの間だけ見えた。
「…………」
舞はビニールシートに機材を置き、体を反らす。雅樹は一望できる森、その先を見ていた。
「朱き泉を思い出す?」
「だいぶ違うけどな、でも」
何となく似ている。
それは、恐らく泉の洗礼を受けた者なら同じように感じるであろう、表現の不可能な感覚。
「今は母さんに任せっきりだけど、いつかは私も、碧き泉を継がなきゃいけないんだよね。そうしないと、こうなっちゃう」
「別に、なったっていいだろ」
そう、雅樹は言い放った。
使用目的が全く理解できそうもない機材を両手で抱え、舞は斜面を登っていく。
「きっつー!!」
口は常に動いている。動かしていないと、集中できない。
意識は全身を駆け巡り、足先から指先へと何度となく走査する。筋肉の状態を常に把握し、必要な物質を供給、老廃物を排除する。断裂する組織が見つかれば周囲の筋繊維で補いつつ修復を行う。身体という工場をフル稼働させるため、監視の目を休ませることはない。
「っ!」
視線を向けていない場所が、ほころぶ。
骨が軋み、たわみが全身へと働き、バランスを崩してよろける。
足を下げ、風を起こし、姿勢を立て直す。水蒸気を多く含む密林の空気は、舞の意識通りに動いていた。
「ふぅ……う」
舞が身体を反り、その側を雅樹が登っていく。舞よりも大きな機材を、軽々と持ち上げていく。
「そこまで違うの!?」
雅樹は一瞥して、丘を登っていく。舞もそれを追って、限界以上の負荷を掛けつつ登っていく。
荒い呼吸を整えつつ、頂上の雅樹を見る。キャスターを押して地下へと降りていく智子が僅かの間だけ見えた。
「…………」
舞はビニールシートに機材を置き、体を反らす。雅樹は一望できる森、その先を見ていた。
「朱き泉を思い出す?」
「だいぶ違うけどな、でも」
何となく似ている。
それは、恐らく泉の洗礼を受けた者なら同じように感じるであろう、表現の不可能な感覚。
「今は母さんに任せっきりだけど、いつかは私も、碧き泉を継がなきゃいけないんだよね。そうしないと、こうなっちゃう」
「別に、なったっていいだろ」
そう、雅樹は言い放った。