KAB-studio > 風雅、舞い > 第十四章 混乱の我家 (16)
風雅、舞い - 第十四章 混乱の我家 (16)
 目を覚ましたとき、少年はストレッチャーに乗せられていた。
「あ、大丈夫!?」
 息を切らせながら智子が訊く。医師達と共に医務室へと運んでいる途中だった。
「だいぶ回復してるけど、念のため検査をッ!?」
 少年は腕を伸ばし壁を掴む。体とストレッチャーに急制動が掛かり智子達が投げ出される。少年の体も放り出され壁に打ち付けられ、頭を振りゆっくりと起きあがる。
「やめなさい!! 今の状態じゃ無理よ!」
「……分かってるよ」
 頭が朦朧とし、体が思うように動かない。ベストコンディションとはほど遠い。
 そのうえ、たとえベストコンディションだとしても敵わない、攻撃を受けてそう感じていた。
「でも、お母さんなんだ」
 検索