赤に金の模様が描かれた長い長い絨毯を、シーバリウが歩いてくる。青を基調として金の装飾が各所に施された正装に身を包み、客人の視線の中をまっすぐと進む。耳に少し掛かる程度の金色の髪の奥には、青い真摯な瞳。
そのシーバリウを、真摯とはほど遠い視線が包む。シーバリウと同じ紋章を身に着ける、3人の男。憎悪と欲望を隠そうともしない目。彼らとは反対側へと視線を向けると、ドレスに身を包んだウムリルがうやうやしく礼をしていた。
3人と1人に左右を挟まれて、シーバリウは止まる。壇上、見上げる先で、王が立ち上がった。
「これより、送杯の儀を執り行う」
厳かに、しかし弱々しい声と共に、式は始まる。
シーバリウは跪き、頭を下げて、述べる。
「創主が一人ゴナツの名の下に、コメネケが第一王子シーバリウ、碧き世界に赴き、見聞を広め、我が国の糧とすることを誓います」
「創主が一人ゴナツの威を借る国の長として、シーバリウの言葉を真と為す。指輪をこれへ」
王の左へ神官が踏み出す。両手に持つ箱から王は指輪を取り出し、シーバリウの元へと降りる。
「右手を」
シーバリウは顔を上げ、右手を差し出す。王は、自らの父は、シーバリウを見ようともせず、一言も発せず、震える手で、右手の人差し指に指輪を通した。
「我、誠心誠意を以て事に望むことを、この刻印に誓います」
その言葉と共に拍手が上がる。父は手を挙げ、その声に応える。父の後ろの左には、母ではない女王が、冷めた瞳でシーバリウを見ている。
父の後ろの神官、法衣に身を包むじいやは、シーバリウを見つめ、「がんばりなされ」と語っていた。その言葉を胸に、ウムリルを見ると、今にも泣きそうな笑顔でうなずいた。
「では、行って参ります」
二人を元気づけるようにシーバリウは言った。
そのシーバリウを、真摯とはほど遠い視線が包む。シーバリウと同じ紋章を身に着ける、3人の男。憎悪と欲望を隠そうともしない目。彼らとは反対側へと視線を向けると、ドレスに身を包んだウムリルがうやうやしく礼をしていた。
3人と1人に左右を挟まれて、シーバリウは止まる。壇上、見上げる先で、王が立ち上がった。
「これより、送杯の儀を執り行う」
厳かに、しかし弱々しい声と共に、式は始まる。
シーバリウは跪き、頭を下げて、述べる。
「創主が一人ゴナツの名の下に、コメネケが第一王子シーバリウ、碧き世界に赴き、見聞を広め、我が国の糧とすることを誓います」
「創主が一人ゴナツの威を借る国の長として、シーバリウの言葉を真と為す。指輪をこれへ」
王の左へ神官が踏み出す。両手に持つ箱から王は指輪を取り出し、シーバリウの元へと降りる。
「右手を」
シーバリウは顔を上げ、右手を差し出す。王は、自らの父は、シーバリウを見ようともせず、一言も発せず、震える手で、右手の人差し指に指輪を通した。
「我、誠心誠意を以て事に望むことを、この刻印に誓います」
その言葉と共に拍手が上がる。父は手を挙げ、その声に応える。父の後ろの左には、母ではない女王が、冷めた瞳でシーバリウを見ている。
父の後ろの神官、法衣に身を包むじいやは、シーバリウを見つめ、「がんばりなされ」と語っていた。その言葉を胸に、ウムリルを見ると、今にも泣きそうな笑顔でうなずいた。
「では、行って参ります」
二人を元気づけるようにシーバリウは言った。