ぼふっ。
突然、柔らかくて温かいものに包まれた。
「んっ!」
「???っ?」
体が持ち上がり、視界がずれる。目の前に枝葉が迫り、その中を突っ切る。
『フィルツィナード! 』
その言葉と共に枝葉が避け、その間を抜ける。
「うわ……」
眼下に広がる山々、その間を縫う川と道路、ぽつりぽつりと建つ家、そして全てを覆い尽くす澄んだ青空。
「お怪我はありませんか?」
同じように澄んだ声に、うめは反対側を見た。うめを抱きかかえる青年は金髪碧眼、その顔が本当に心配そうにうめの顔を覗き込んでいた。
うめは、声も出せずにうなずいた。
「そうか、本当に良かった」
彼は満面の笑みを浮かべた。
「そちらの子犬さんは……大変だ!」
「あ、ゴン太は元々怪我してたから……でも早く治療した方がいいかな。えっと……あなたは……」
「あ、申し遅れました。私は……し、柴、竜太郎、といいます」
「しば……くん?」
その髪と瞳の色には似つかわしくない名前だった。
「ねぇ、これって……魔法?」
「あ、いや、その……なんていうか……」
しどろもどろの青年に、うめは吹き出した。
突然、柔らかくて温かいものに包まれた。
「んっ!」
「???っ?」
体が持ち上がり、視界がずれる。目の前に枝葉が迫り、その中を突っ切る。
『
その言葉と共に枝葉が避け、その間を抜ける。
「うわ……」
眼下に広がる山々、その間を縫う川と道路、ぽつりぽつりと建つ家、そして全てを覆い尽くす澄んだ青空。
「お怪我はありませんか?」
同じように澄んだ声に、うめは反対側を見た。うめを抱きかかえる青年は金髪碧眼、その顔が本当に心配そうにうめの顔を覗き込んでいた。
うめは、声も出せずにうなずいた。
「そうか、本当に良かった」
彼は満面の笑みを浮かべた。
「そちらの子犬さんは……大変だ!」
「あ、ゴン太は元々怪我してたから……でも早く治療した方がいいかな。えっと……あなたは……」
「あ、申し遅れました。私は……し、柴、竜太郎、といいます」
「しば……くん?」
その髪と瞳の色には似つかわしくない名前だった。
「ねぇ、これって……魔法?」
「あ、いや、その……なんていうか……」
しどろもどろの青年に、うめは吹き出した。