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Machician - 第2話 好きとスキと (5)
「? どうしたの姉さん」
 教室、席から姉を見上げる少年。その姉、紫恋は別の方向を見ている。
「ん〜? あ、こーし、おはよう」
 紫恋の弟、高士がその視線を追う。教室に戻ってくるうめを見ていた。
うめさん、今日は遅刻?」
「一緒に来たけど。転校生を職員室まで送ってきたから」
「転校生?」
 ふたりの「転校生」キーワードにまわりの数人が振り向く。
「転校生ってホント?」
「それって今朝のあの人?」
「あの人って?」
「男、ガイジンの」
「外人!?」
「金髪で目が青いの!」
「ええええっ!?」
 あっという間に話題が教室中に伝染する。10人に満たない生徒全員に感染すると、隣のクラスからも声が上がる。
「ああっ!!」
 突然うめが声を上げる。
「そういえば、王子って2組かもしれないんだよね……」
「別にいいじゃん、隣だし」
「そりゃそうだけど……」
 紫恋の隣に座り、溜息をつく。
「姉さんは会ったの? どんな感じの人?」
「うーん、私嫌い」
「ええっ!?」
 うめがすごい勢いで振り向く。
「な、なんで……?」
「なんとなく」
「なんとなくって……」
「はい、席に座って!」
 ややかっぷくのいい女性がシーバリウを連れて入ってくる。ほっとするうめ
「みんなもう知ってるみたいだけど、転校生を紹介します」
「初めまして、シーバリウコメネケといいます」
「え? 芝、君……だよね」
 教室に微妙な空気が流れた。
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