「……大丈夫?」
中腰で心配する紫恋に、ちょっとばつの悪そうな顔を見せてから、素直にうなずいた。
「あいつ、投げた時に手を離してたから受け身を取れた」
「へー、ぶん投げられてたから危なそうだったけど」
「わざと広い方に投げていたし……大怪我させない自信があったんだろ」
とはいえ。
それでも、当たり方が悪ければ、最悪死ぬことだってあったはずだ。この硬い教室の床、頭を打ち付けていたら……それに、受け身に失敗していたら、背骨を痛めていたかもしれない。その時は半身不随の可能性もある。
それは、自分も同じ。
絶対の自信があっても、本気で技を掛ければ、その結果は保証できない。
高士は身震いする。
シーバリウに起こしかねなかった最悪の事態に。
自分に起きたかもしれない最悪の事態に。
シーバリウの目に。
でも。
最後のシーバリウの目と言葉は、違う意味の本気だった。
高士はすっくと立ち上がり、ほこりをはたいて平気だということを証明する。
「悪かったのは俺の方だ。先生に言ったりすんなよ」
「へー、認めるんだ」
「何を?」
「負け」
「……」
悔しい。
「次」すら考えずに「格」で負けたと認めてしまっていた自分に。
「……あいつ、王子だったよな」
「うん、そう言ってた」
「戦争とか……やってんのかな」
「……え?」
「あいつの目、そういう目だった。だから、レベルが違う、そう感じた」
「言い訳?」
「かもな。……やっぱ姉さんは、あいつには近づかない方がいい」
「んー……」
うめ次第。
「あ、無理か」
「無理って何よ無理って」
「なんでもねー。部活行ってくる、ちゃんとパーティーも出るから」
その背中を見送って、紫恋は溜息をついた。
中腰で心配する紫恋に、ちょっとばつの悪そうな顔を見せてから、素直にうなずいた。
「あいつ、投げた時に手を離してたから受け身を取れた」
「へー、ぶん投げられてたから危なそうだったけど」
「わざと広い方に投げていたし……大怪我させない自信があったんだろ」
とはいえ。
それでも、当たり方が悪ければ、最悪死ぬことだってあったはずだ。この硬い教室の床、頭を打ち付けていたら……それに、受け身に失敗していたら、背骨を痛めていたかもしれない。その時は半身不随の可能性もある。
それは、自分も同じ。
絶対の自信があっても、本気で技を掛ければ、その結果は保証できない。
高士は身震いする。
シーバリウに起こしかねなかった最悪の事態に。
自分に起きたかもしれない最悪の事態に。
シーバリウの目に。
でも。
最後のシーバリウの目と言葉は、違う意味の本気だった。
高士はすっくと立ち上がり、ほこりをはたいて平気だということを証明する。
「悪かったのは俺の方だ。先生に言ったりすんなよ」
「へー、認めるんだ」
「何を?」
「負け」
「……」
悔しい。
「次」すら考えずに「格」で負けたと認めてしまっていた自分に。
「……あいつ、王子だったよな」
「うん、そう言ってた」
「戦争とか……やってんのかな」
「……え?」
「あいつの目、そういう目だった。だから、レベルが違う、そう感じた」
「言い訳?」
「かもな。……やっぱ姉さんは、あいつには近づかない方がいい」
「んー……」
うめ次第。
「あ、無理か」
「無理って何よ無理って」
「なんでもねー。部活行ってくる、ちゃんとパーティーも出るから」
その背中を見送って、紫恋は溜息をついた。