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Machician - 第2話 好きとスキと (10)
 高士の左貫手がシーバリウの顔面めがけて飛ぶ。
「!」
 貫手が右頬をかすめる。その貫手は、反応の良さを確かめるため。そして、掴むため。軌道を変えて振り降ろされた左手が右襟を掴みシーバリウを引き落とす。
「ッ!」
 シーバリウの右手が挙がる。その動きは、高士の左手を掴む軌道。
 右貫手、悟られないほんの一瞬、構える。シーバリウはそれを見て、左手を挙げる。顔面を防ぐ防御への動き。
 とった・・・
 放たれる高士の右貫手。シーバリウは左手で貫手を防ぐと同時に右手で高士の左手甲を掴み直後高士の右貫手は軌道を直角に変えシーバリウの右手を掴みに行くその手が止められる・・・・・
 !?
 高士の右手首をシーバリウの左手が掴んでいる。
 ありえない。
 その左手は顔面をガードしていたはずだ、右貫手と見せて掴みにいく、その動きを読み切っていなければ追って手首を掴むことなどできるはずがない。
 高士シーバリウの目が、合う。
 シーバリウの目。
 本気の目。
 殺意ある目。
 死ね・・
 !?ッ――
 背筋が凍った。
 シーバリウは右肩を入れ、肩と右手で高士の左手を押さえ込み極める。
「!!」
 突然の激痛に高士の動きが止まる。高士の右手を投げ出し、体を捻って腰を入れる。高士の体がシーバリウの背中に乗り勢いよく両足が跳ね上がる。天井に着くかという大回転を見せて高士が投げ飛ばされ、足と肩から床に叩き付けられる。
「う”っ!」
 声にならない声を上げる。荒い呼吸、だが意識はあった。手を床について体を起こそうとする。その頭上、シーバリウ
「本気になるということは、どのような結果も受け入れる覚悟が必要ということです。今だって、下手をしたら……今後、このようなことは決してしないでください」
 そう言い放つと、シーバリウは教室を出ていった。
「あっ……」
 高士シーバリウの背中を見て、うめシーバリウの方へと駆けていく。
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