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Machician - 第3話 三者三様 (2)
「おじゃまします」
「おじゃましまーす」
 開きっぱなしのガレージにシーバリウうめが入る。明かりも各種機器も点きっぱなし、でも人の気配がない。
「あ、しまった!」
 と、うめは腕時計型携帯を耳の後ろに当てる。
「どうしました?」
ジャージって、寝泊まりはうちでしてるんだった。もしかしてまだこっち来てないのかも」
「まさか、さっきまでいたような雰囲気ですよ?」
 シーバリウ装甲多脚に継ながれた機械を見る。開きっぱなしのコクピットと継ながる機器、あるモニターは目にも止まらぬ速さでログを出力し続け、またあるモニターはボタンが複数表示された状態のままになっている。当然、シーバリウにはその意味は全くわからない。
「魔法に関係しているなら、もう少しわかりそうなものなんですけど……」
「おーじー、ジャージ今から来るって」
「へ?」
「寝てたって。ママに起こしてもらってここに来るように言ったから」
「は、はぁ……」
 5分もせずにあくびをしながらジャージは来た。いつもの小豆ジャージを着て。
「おはよー」
「おはようございますジャージさん」
「ってゆーかまだ寝てたの?」
「昨日6時寝だもん……んー、どうしよっか、とりあえずついてきて」
 うめシーバリウを追い越して中へと入り、奥の扉へと入る。中はキッチンになっていて、狭いながらもちゃんとしたシンクと、4脚の椅子にガラスのテーブルが置かれている。そこにジャージがコーヒーを置く。
「とりあえずこれ。王子はコーヒー飲める?」
「ミルクと砂糖を入れれば」
 と言う間もなくうめがミルクと砂糖を入れて混ぜる。
「なるほど、付き合ってるって話は本当なんだ」
「えっ?」
 思わずしてしまった行動を指摘されて、うめは真っ赤になる。
「だだだ、誰に聞いたんですか?」
「あんたのご両親に」
「!!」
 ……絶対あとで殴る。
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