ジャージが虚空を見上げる。HMD が外の立体視映像に軌跡を重ねる。その軌跡を追い、イメージを重ねる。
『……よし。エルメティアナス散布』
装甲多脚の底、6本の足の中心に着けられた噴出口から何かが吹き出してくる。思わずうめが下がる。
「これ、なんなの?」
「こちらの世界で言う『エーテル』ですね。魔法強度はこのエーテルが濃ければ濃いほど高くなります」
「つまりこれで魔法が掛かりやすくなるってこと?」
「おそらくは……」
『ステッキを開始位置へ』
装甲多脚の右腕が上がる。その手に掴む杖は、先端に碧い石がはめ込まれている。
「あの宝石、王子の杖に着いてるのと同じ?」
「あれは稀法石という、魔法を扱うための石ですね。僕の杖に着けているものは法玉という少し性質の異なるものです」
「異なるってどう?」
「うーん……」
説明を考える間も、シークェンスは進む。
『録音開始、朱雀の力を威として、目の前の箱を吹き飛ばせ! 録音終了。コロナの水噴出』
装甲多脚の後ろ側、両腕の付け根に取り付けられた噴出口が回り、上空に何かを噴き付けている。
「? 何あれ?」
「なんでしょう……僕にもわかりません」
『コロナの火、着火!』
その上空に火が上り、軌跡が描かれる。方円、魔法陣、装甲多脚を包む様に牽かれた数多の光線は全く法則性のない完全非対称な図形でありながら、それを見る者に何らかの意味を感じさせる。
ジャージから見上げれば、その図形は先のCG通り。唾を飲み込み、腕をわずかに動かせば、図形の端に位置するステッキが、動き出す。
ステッキの先が『庠嫺◎+→』光を追って『♀桝剏匏權』軌跡を描く『娘★椒躬≦錏靈』 『朱雀の力を威として、目の前の箱を吹き飛ばせ!』
「!」
「きゃっ!!」
その一文が再生されると、強い風が瞬き、段ボール箱は高々と吹き飛んだ。
『……よし。エルメティアナス散布』
装甲多脚の底、6本の足の中心に着けられた噴出口から何かが吹き出してくる。思わずうめが下がる。
「これ、なんなの?」
「こちらの世界で言う『エーテル』ですね。魔法強度はこのエーテルが濃ければ濃いほど高くなります」
「つまりこれで魔法が掛かりやすくなるってこと?」
「おそらくは……」
『ステッキを開始位置へ』
装甲多脚の右腕が上がる。その手に掴む杖は、先端に碧い石がはめ込まれている。
「あの宝石、王子の杖に着いてるのと同じ?」
「あれは稀法石という、魔法を扱うための石ですね。僕の杖に着けているものは法玉という少し性質の異なるものです」
「異なるってどう?」
「うーん……」
説明を考える間も、シークェンスは進む。
『録音開始、朱雀の力を威として、目の前の箱を吹き飛ばせ! 録音終了。コロナの水噴出』
装甲多脚の後ろ側、両腕の付け根に取り付けられた噴出口が回り、上空に何かを噴き付けている。
「? 何あれ?」
「なんでしょう……僕にもわかりません」
『コロナの火、着火!』
その上空に火が上り、軌跡が描かれる。方円、魔法陣、装甲多脚を包む様に牽かれた数多の光線は全く法則性のない完全非対称な図形でありながら、それを見る者に何らかの意味を感じさせる。
ジャージから見上げれば、その図形は先のCG通り。唾を飲み込み、腕をわずかに動かせば、図形の端に位置するステッキが、動き出す。
「!」
「きゃっ!!」
その一文が再生されると、強い風が瞬き、段ボール箱は高々と吹き飛んだ。