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Machician - 第3話 三者三様 (12)
「バイトー!?」
 神社の裏に建つ家の窓で、紫恋があからさまに嫌な顔をした。
「神社だもん、巫女さんのバイトとかしてなかったっけ?」
「シーズンはね。今は来る人なんていないもの。あっても王子がやれるバイトなんてないよ」
「う”」
 そんなあからさまに嫌わなくてもいいじゃない!
 嫌いなんだから仕方ないでしょ?
「まぁまぁ、仕方ないですよ。実際、我々が働く必要はないようですし」
 境内にはひとっこひとりいない。
「……時々妙にまわりくどくストレートに嫌なこと言うね。だから嫌い」
「ええっ」
「いいもん! 行こ、王子!」
 シーバリウを引きずって去っていくうめ。それを見送って、腕の中に顔を埋める。
 ……本当なら、今日みたいな休みの日は、駅まで遊びに行ったりするのに……。


「バイト?」
 ジャージはその質問にちょっと考えた後。
「ってゆーか、魔法のやつ、あれバイトにできるかも」
「ええっ、そうなんですか?」
 二人の顔に笑みが灯る。
「前にも言ったけど、魔法のってHACの助成金が出るんだわ」
「あ……でも、それは僕の宿泊費では……」
 そういえば、初日にそんな話をしていた。
「あ、そっか……今申請中なんだけど、額が決まって、宿泊費と相談して、余るようならあげるから」
「む、それはママと要相談? じゃあ掛け合ってくる! 行こ、王子!」
「あ、はい。それではジャージさん」
 というとあっという間に旅館の方へと走っていった。
 ……ちぇ。
「今日も魔法の話、できると思ったのになぁ……」


「え、宿泊費ってもらえるの?」
 その返答に「あちゃー」といううめ。やぶ蛇だった……。
「え、ええ……魔法の研究資金のようなものだそうです」
「それは助かるわー」
「なによママ、王子ひとりくらい問題ないでしょ?」
「そういう問題じゃないのよ」
 でも、そういう話を子供やシーバリウの前では、したくなかった。
「それでは……ここでバイトをする、というのはどうでしょうか」
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