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Machician - 第3話 三者三様 (21)
 土曜の午後。
「……」
 仏頂面の見本のように、高士はふてくされていた。
 自分の家の居間、長テーブルにはシーバリウうめ紫恋ジャージ、そして今日は高士も混ざっていた。
 気にくわないのが、
「ここは少し柔らかくした方がいいでしょうから、 must よりも should の方がいいと思います」
 シーバリウに英語を教えてもらっていることだった。
 この前の事もある。英語が上なのもわかる。数学なら負けないこともわかっている。
「? どうしました?」
 何より、笑顔で訊くシーバリウに苛つく自分のガキっぽさにむかついた。
「なんでもない。 should って『すべき』って意味じゃないのか?」
「うーん、そういうよりは、強意の加減と言いますか、 must や may といった助動詞は……」
 そんな二人を見て。
「相変わらずぎこちないなぁ……」
「あらあら、紫恋さんは大事な弟さんが心配の御様子ですなぁ」
 嫌らしい笑みでうめがツッコミを入れる。
「別に心配ってわけじゃないんだけど」
 王子を嫌いなのは、私だけで十分。
高士は結構人見知りするからね……彼女もいないみたいだし、もててはいるみたいだけど」
「好きなのはおねえさん、なんじゃないのぉ?」
「……ファーストキスの相手が高士だって王子にばらすわよ?」
!!!!!!……ごめん、マジごめん……」
「……ジャージさんも、少しくらい乗ってくださいよ」
「へ?」
 紫恋の隣、教科書を熟読しているようでいて顔をしっかり赤らめているジャージが変な声を出す。
「べ、別に……私の事は気にしないで」
 引きつづき教科書を睨み付けるが、耳が二人を向いていた。
「! 私ジャージさんのそういう話聞いてみたい!」
 バン!
 教科書を叩き付け、睨み付ける高士に三人寄ったかしましい娘達が苦笑いする。
「試験、あさってなんだからな、ねえさん」
「う”」
 うめが笑いを堪えている。
 言いやすいからって名指しすんなよなー……。
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