「相当嫌われているようですね……」
肩を落とすシーバリウ。
「前はあんな感じじゃなかったんだけど……やっぱり魔法って目の敵なのかな」
「前に会ったことあるの?」
「あ、林田さんはお父さんのお兄さん」
「え?」
紫恋は石段の方向から右に15度ほど傾いた先を指さす。向かいの山、その木々の間に明かりが見える。
「あそこにある社は……えーっと、高士フォロー」
「神社から見て『鬼の逃げ道』と言われている方角で、あそこの社はその逃げ道を塞ぐ意味を持ってるって父さんが言っていた」
「そうそう、だから鬼、つまり災いがこの神社に寄ってこない、っていういいつたえなわけ」
「風水かなんか?」
「さあ」
「でも、特に魔力的なものは感じませんね」
「そりゃそうよ、ただのいいつたえ、迷信だもの」
「だから魔法は嫌われる、か」
「あ……」
ジャージの言葉に、納得する。不明瞭だったものが、効力を持つ魔法という存在によって顕されてしまう。そうなれば、それまでの威光は失うことになる。
「でも、それだけじゃないと思う。父さんはこの待逢神社に嫁いできて、あの社は待逢神社にとっての防壁、つまり格下に当たるから」
「兄弟の関係が逆転したってこと?」
紫恋にとってもその話は初耳だった。
「兄は弟の存在を疎ましく思い、そこでそこに入り浸っている魔法使い二人に目を付けた……って、そんな怖い顔しないでよ」
睨むような高士を牽制して、話を続ける。
「とにかく、『敵』は判ったわけだし、あとはあんた達ががんばって誠意見せれば大丈夫なんじゃないの?」
「はい、がんばります!」
と、元気に返事をしたのはやはりシーバリウだけだった。
でも。
「ん……やってみっか」
ジャージも、まんざらでもない笑顔だった。
肩を落とすシーバリウ。
「前はあんな感じじゃなかったんだけど……やっぱり魔法って目の敵なのかな」
「前に会ったことあるの?」
「あ、林田さんはお父さんのお兄さん」
「え?」
紫恋は石段の方向から右に15度ほど傾いた先を指さす。向かいの山、その木々の間に明かりが見える。
「あそこにある社は……えーっと、高士フォロー」
「神社から見て『鬼の逃げ道』と言われている方角で、あそこの社はその逃げ道を塞ぐ意味を持ってるって父さんが言っていた」
「そうそう、だから鬼、つまり災いがこの神社に寄ってこない、っていういいつたえなわけ」
「風水かなんか?」
「さあ」
「でも、特に魔力的なものは感じませんね」
「そりゃそうよ、ただのいいつたえ、迷信だもの」
「だから魔法は嫌われる、か」
「あ……」
ジャージの言葉に、納得する。不明瞭だったものが、効力を持つ魔法という存在によって顕されてしまう。そうなれば、それまでの威光は失うことになる。
「でも、それだけじゃないと思う。父さんはこの待逢神社に嫁いできて、あの社は待逢神社にとっての防壁、つまり格下に当たるから」
「兄弟の関係が逆転したってこと?」
紫恋にとってもその話は初耳だった。
「兄は弟の存在を疎ましく思い、そこでそこに入り浸っている魔法使い二人に目を付けた……って、そんな怖い顔しないでよ」
睨むような高士を牽制して、話を続ける。
「とにかく、『敵』は判ったわけだし、あとはあんた達ががんばって誠意見せれば大丈夫なんじゃないの?」
「はい、がんばります!」
と、元気に返事をしたのはやはりシーバリウだけだった。
でも。
「ん……やってみっか」
ジャージも、まんざらでもない笑顔だった。