「何も進展しとらんじゃないか!」
家の隣に建てられた小さな社の中で、林田は男達を怒鳴っていた。
「んなこと言ってもよ、あいつら、特に金髪は全然隙ねえんだもの」
「そうそう、この前、書類抜いといたのに平然としてやがって、あとで聞いたら全部暗記していたっていうし」
「なんていうか、あいつら人間ができてるし」
「…………」
林田は男達に背を向け、社の奥へと歩いていく。その一番奥、神棚に胴体ほどはあるかという石が置かれている。
林田は、その石をおもむろに蹴り倒した。
「!!」
男達は立ち上がり、その見ている前でゆっくりと台座から落ち、音を立てて神棚を崩した。
「おいおい……バチが当たるんじゃないのか?」
「当たるかそんなもの!」
怒声と共に男達へと振り向く。
「このようなことをしても何も起きないから神事なのだ! しかし起きてしまうのが魔法だ! 守り神をこかせば神罰下るのが魔法なのだ! そんなものあってたまるか!!」
「……」
「……そうだ」
林田はにやりと笑う。
「おまえ達だって、もうあの魔法使いにだまされているのかもしれないぞ。心を操る魔法だってあるのだからな」
「まさか、そんな……」
「なぁ……」
一度傾いた心は、なかなか変わらない。
たとえ「自分はだまされているのかもしれない」という疑いを持っていても、一度自分が信じたものは、信じたくなる。
目の前に疑いたいものがあれば、なおさら。
「なぁ、俺抜けていいか?」
林田と男ふたりが、煙草に火を付けた男へと向く。
「あんたとは付き合い長いし、親父との約束もあっけど……あんたが神社のこと信じられないんなら、俺ももう信じられないよ」
「私を裏切るというのか!?」
「元々あんたのために動いてたわけじゃない。俺だって魔法は嫌いだ。あんな簡単に火を起こせる人間は普通に怖いよ。でも、魔女裁判ができるほど、こっちにも染まってない。風習や慣例で神様を信じるだけだからな。でも」
男は立ち上がり、背を向ける。
「林田さんはそれすらも否定してるんだ。神主がおみくじを否定したら、誰も引かないよ」
家の隣に建てられた小さな社の中で、林田は男達を怒鳴っていた。
「んなこと言ってもよ、あいつら、特に金髪は全然隙ねえんだもの」
「そうそう、この前、書類抜いといたのに平然としてやがって、あとで聞いたら全部暗記していたっていうし」
「なんていうか、あいつら人間ができてるし」
「…………」
林田は男達に背を向け、社の奥へと歩いていく。その一番奥、神棚に胴体ほどはあるかという石が置かれている。
林田は、その石をおもむろに蹴り倒した。
「!!」
男達は立ち上がり、その見ている前でゆっくりと台座から落ち、音を立てて神棚を崩した。
「おいおい……バチが当たるんじゃないのか?」
「当たるかそんなもの!」
怒声と共に男達へと振り向く。
「このようなことをしても何も起きないから神事なのだ! しかし起きてしまうのが魔法だ! 守り神をこかせば神罰下るのが魔法なのだ! そんなものあってたまるか!!」
「……」
「……そうだ」
林田はにやりと笑う。
「おまえ達だって、もうあの魔法使いにだまされているのかもしれないぞ。心を操る魔法だってあるのだからな」
「まさか、そんな……」
「なぁ……」
一度傾いた心は、なかなか変わらない。
たとえ「自分はだまされているのかもしれない」という疑いを持っていても、一度自分が信じたものは、信じたくなる。
目の前に疑いたいものがあれば、なおさら。
「なぁ、俺抜けていいか?」
林田と男ふたりが、煙草に火を付けた男へと向く。
「あんたとは付き合い長いし、親父との約束もあっけど……あんたが神社のこと信じられないんなら、俺ももう信じられないよ」
「私を裏切るというのか!?」
「元々あんたのために動いてたわけじゃない。俺だって魔法は嫌いだ。あんな簡単に火を起こせる人間は普通に怖いよ。でも、魔女裁判ができるほど、こっちにも染まってない。風習や慣例で神様を信じるだけだからな。でも」
男は立ち上がり、背を向ける。
「林田さんはそれすらも否定してるんだ。神主がおみくじを否定したら、誰も引かないよ」