「あ”ーっ!! ムカツクムカツクムカツク!」
神社の影からセラフを見上げて、紫恋が吼える。
「そんなこと言っても仕方ないでしょー?」
うめは紫恋ではなく紙を見ている。リストの中から「終わったもの」をチェックする。
「あれは警察の人か王子達がなんとかしてくれるでしょ」
「ホントになんとかなると思う!? もう3日よ!? 絶対ほっとかれてるんだって」
「そんなわけないでしょ」
うめも顔を上げて見上げる。
「あの中にはふりかちゃんが閉じこめられてるんだから。立派な人質誘拐立て籠もり事件よ」
「にしてはのろいし」
回りにいる数名の警官に聞こえるほどの声で言う。
「それにマスコミもうざいし」
立ち入りを禁止しているから境内にはいないが、逆にこちらからは見えないほど遠くから撮影されていると思うとぞっとする。
「あーっ! これ終わってない!」
と、うめは紙を持って走っていく。
「あ、ちょっと!」
振り返ることなく、うめは待逢家から出てきた王子に紙を見せて説明している。
……つまんない。
つまんないつまんないつまんない!
「どうしたの? 紫恋ちゃん」
「? あれ母さん早いね」
振り向けば紫恋の母、待逢群咲 が立っていた。
「ほら、うちがテレビ出てるでしょ、そしたら早く帰ったらって。なんか追い出されたみたい」
「そんなことないでしょ、心配してくれてるんだって」
う”……。
この母が相手だと、自然にフォロー役に回る自分がいる……。
「ん?」
よく見ると、むらさきの手には中身一杯に詰まったスーパーの袋。
「これ? ほら、もうすぐお祭りでしょ? みんながんばったから、今日は腕を振るってご馳走作っちゃおうかなって」
そう言って顔をほころばせる。
「だから今日は委員会の人みんな呼んでパーティーね」
「……」
普段はこういったことに全く関わらない母親までも、今日は「お祭り」という言葉を口にした。
ぱたぱたと家の中に入っていったむらさきを見送ってから、紫恋は神社の欄干を蹴った。
神社の影からセラフを見上げて、紫恋が吼える。
「そんなこと言っても仕方ないでしょー?」
うめは紫恋ではなく紙を見ている。リストの中から「終わったもの」をチェックする。
「あれは警察の人か王子達がなんとかしてくれるでしょ」
「ホントになんとかなると思う!? もう3日よ!? 絶対ほっとかれてるんだって」
「そんなわけないでしょ」
うめも顔を上げて見上げる。
「あの中にはふりかちゃんが閉じこめられてるんだから。立派な人質誘拐立て籠もり事件よ」
「にしてはのろいし」
回りにいる数名の警官に聞こえるほどの声で言う。
「それにマスコミもうざいし」
立ち入りを禁止しているから境内にはいないが、逆にこちらからは見えないほど遠くから撮影されていると思うとぞっとする。
「あーっ! これ終わってない!」
と、うめは紙を持って走っていく。
「あ、ちょっと!」
振り返ることなく、うめは待逢家から出てきた王子に紙を見せて説明している。
……つまんない。
つまんないつまんないつまんない!
「どうしたの? 紫恋ちゃん」
「? あれ母さん早いね」
振り向けば紫恋の母、待逢
「ほら、うちがテレビ出てるでしょ、そしたら早く帰ったらって。なんか追い出されたみたい」
「そんなことないでしょ、心配してくれてるんだって」
う”……。
この母が相手だと、自然にフォロー役に回る自分がいる……。
「ん?」
よく見ると、むらさきの手には中身一杯に詰まったスーパーの袋。
「これ? ほら、もうすぐお祭りでしょ? みんながんばったから、今日は腕を振るってご馳走作っちゃおうかなって」
そう言って顔をほころばせる。
「だから今日は委員会の人みんな呼んでパーティーね」
「……」
普段はこういったことに全く関わらない母親までも、今日は「お祭り」という言葉を口にした。
ぱたぱたと家の中に入っていったむらさきを見送ってから、紫恋は神社の欄干を蹴った。