「王子、いる?」
山道の奥、神社側から紫恋の声が聞こえてくる。
「はい、どうしました?」
「うめが心配してるよ、もう今日は帰って寝な」
「あ……」
「そだよ、あとはあたし達でやるから」
ジャージがにっこり笑って親指を立てる。
「明日は早起きしておみこしかつがなきゃ」
「……はい、分かりました。それでは失礼します」
王子は丁寧にお辞儀をする。
「ん、おやすみ、シーバリウ」
「おやすみなさい」
そして山道へと進む。明かりに入ってくる紫恋。
「……ったく、うめに心配掛けさせないでよ」
大袈裟に溜息をついて。
「はぁっ……これはちょっと言えないな……」
「? 何がです?」
「何がです、じゃないわよ。あんたがどう思ってるかはわからないけど、ジャージだって女なんだよ? うめがいい気しないのわかるでしょ」
「あっ……確かに分かりますけど……」
「昼の作業ならまだしも、夜のこんな暗いところで……ただでさえ今日の件で心配してるんだから、これ以上気苦労掛けさせないの」
「すみません……」
二人は並んで山道を歩いていく。明かりは少ないが、紫恋にとっては自分の庭のようなもの、見えない起伏さえも何気なくまたいでいく。
「一応訊くけど、ジャージとは何もないんだよね」
「ありません、ゴナツ神に誓って」
「じゃあ、ジャージのことどう思ってる?」
「え、どうって……」
シーバリウは背を振り返る。もうすでに見えない、暗闇の向こうにいるはずのジャージを想って。
「ジャージさんは……魔法の事を相談できますし、僕より年上ですので……姉がいたらあのような感じかな、と」
「おねえさんか」
「ですが、僕の恋人はうめさんだけです」
「それは訊いた。でも、そんなのわかんないじゃん。ジャージに押し倒されたらどうする?」
「お、押し倒す!?」
…………もわもわもわーん。
ぺし。
「そこ、変な想像しない」
山道の奥、神社側から紫恋の声が聞こえてくる。
「はい、どうしました?」
「うめが心配してるよ、もう今日は帰って寝な」
「あ……」
「そだよ、あとはあたし達でやるから」
ジャージがにっこり笑って親指を立てる。
「明日は早起きしておみこしかつがなきゃ」
「……はい、分かりました。それでは失礼します」
王子は丁寧にお辞儀をする。
「ん、おやすみ、シーバリウ」
「おやすみなさい」
そして山道へと進む。明かりに入ってくる紫恋。
「……ったく、うめに心配掛けさせないでよ」
大袈裟に溜息をついて。
「はぁっ……これはちょっと言えないな……」
「? 何がです?」
「何がです、じゃないわよ。あんたがどう思ってるかはわからないけど、ジャージだって女なんだよ? うめがいい気しないのわかるでしょ」
「あっ……確かに分かりますけど……」
「昼の作業ならまだしも、夜のこんな暗いところで……ただでさえ今日の件で心配してるんだから、これ以上気苦労掛けさせないの」
「すみません……」
二人は並んで山道を歩いていく。明かりは少ないが、紫恋にとっては自分の庭のようなもの、見えない起伏さえも何気なくまたいでいく。
「一応訊くけど、ジャージとは何もないんだよね」
「ありません、ゴナツ神に誓って」
「じゃあ、ジャージのことどう思ってる?」
「え、どうって……」
シーバリウは背を振り返る。もうすでに見えない、暗闇の向こうにいるはずのジャージを想って。
「ジャージさんは……魔法の事を相談できますし、僕より年上ですので……姉がいたらあのような感じかな、と」
「おねえさんか」
「ですが、僕の恋人はうめさんだけです」
「それは訊いた。でも、そんなのわかんないじゃん。ジャージに押し倒されたらどうする?」
「お、押し倒す!?」
…………もわもわもわーん。
ぺし。
「そこ、変な想像しない」