KAB-studio > Machician > 第6話 祭の夜に (6)
Machician - 第6話 祭の夜に (6)
「って、言ったの紫恋さんじゃないですか」
「でもすぐそんな妄想が浮かぶってことは、そーゆーこと考えないわけじゃないんでしょ?」
「うっ」
「あんたの言う恋人がうめだけだとしても、まわりには女の子がいっぱいいる、うめにとってはみんなライバルなんだから」
「いっぱい?」
「そうよ、ジャージさんに、かあさん、それにわた…………」
「え…………」
 紫恋の言葉が止まる。顔を押さえて、赤くなって。
「ごめん今のなし。私は数に含まないでお願い」
「はぁ……」
 あー、何私意識してるんだろ、これじゃ誤解されちゃうじゃない!
「それはともかくとして、うめにとっては心配の種がそこらじゅうにあるんだから、言動には気を付けなさいって言ってるの」
「それはそうですけど……蒸し返すようで悪いですけど、紫恋さんとこうして歩くことだって」
「だーっ! だから私を入れるな! 私はまったくその気ないんだから! むしろあんたのこと嫌いなくらいなんだから!」
「……あ」
 シーバリウは思い付く。
「どうしたのよ……」
「気付いたんです。なんで紫恋さんに親近感が沸くのかなって」
「へ?」
「僕も紫恋さんも、うめさんのことを心配してるからなんじゃないかなって」
 がんっ。
 その、金槌で叩いたような音が、紫恋の頭の中に確かに響いた。
「何よそれっ、うめが子供で私達夫婦とでも言いたいの!?」
「そこまでは言ってませんよ……でも、立場が似ているのですから、嫌いになる必要はないのではないかと」
「あるわよ。子は親を平等には愛さない。……わかるよね」
「……」
「私は、うめがあんたとくっつくことでどうなるか心配だし……ううん、そう、私から離れていくのが正直悔しいし、寂しい。それでも、うめが一番幸せになる方法はなんだろうっていつも考えてる……」
紫恋さん……」
 検索