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Machician - 第6話 祭の夜に (10)
 次の日の早朝、すでに屋台が立ち並ぶ境内で。
 紫恋はあごが外れるかと思うほど、あんぐりと口を開けていた。
「……そんなに驚くこと?」
 うめが尋ねる。その言葉に応えるように、うめにヘッドロックを極めて奥へと連れて行く。置いてきぼりになるシーバリウジャージ
「何バカ言ってるのよ!! 今日はあんたと王子、二人きりにしてあげるって言ってるのに!」
「え〜? みんなで回った方が絶対楽しいって〜」
「……何? 急に怖じ気づいた?」
「……怖じ気づいた」
 それを聞いて、紫恋は手を離す。
「なんでまた、急に」
「……なんとなく」
 なんかあったのね……。
「……わかった。理由は明日訊くから、今日は仲良くグループ交際ってことで」
「ありがと!」
 再び二人の方に戻りつつ。
 ん? 男ひとりに女3人、グループ交際じゃなくハーレム交際?
「じゃ、今日の5時にここに集合して、みんなで屋台を回ろーう!」
 手まで上げて、おーとかけ声を上げる、うめ
「……いいのですか?」
 と、心配そうに尋ねるシーバリウ
「いいったらいいの。ほらみんなも。おー!!」
 おー、と、力なさそうに3人は手を挙げる。
「じゃ、私寝る……5時にまたね」
 と、徹夜で手伝っていたジャージが立ち去る。
 その立ち去り際。
「……ねぇ、今日はうめシーバリウの二人っきりって話じゃなかったの?」
「……うめがそうしたいって言うんだから仕方ないでしょ?」
 あきれてるのか怒っているのか、つっけんどんに紫恋は答えた。
 紫恋は、その理由を聞いていなかった。
 寝ているシーバリウにキスしようとして、失敗したことを。
「じゃ、5時にまたね!」
 駆けて立ち去るうめ、見送るシーバリウ
 うめは、シーバリウを直視できないことを自覚していた。
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