旅館山田屋のダイニングテーブルを挟むように、うめとシーバリウが座っている。
テーブルに広げられた教科書と問題集。
「夏休みの宿題、しません?」
いつもは「8月31日にやる派」のうめも、シーバリウに言われれば「イベントのひとつ」としてむしろ大歓迎だった。
「……」
「……」
でも、会話はない。
シーバリウは黙々と問題を解いている。問題集に視線を固定し、ただひたすら手を動かしている。
対して、うめも手は動かしているものの、ちらちらとシーバリウを見て、気にしていた。
「ねぇ、王子」
「はい、何かわからないところがありましたか?」
ばっと顔を上げるシーバリウに、うめが少し距離を取る。
「あ、えーっと、そういうわけじゃないんだけど……」
「そうでしたか……それでは勉強を続けますね」
と、再び問題集へと向かい、鉛筆を走らせる。
「……」
なーんか変なんだよなー。
……ううん、考え過ぎかも。
本当に変、という確証はないし、なんとなくだし。
「ねぇ、王子」
「はい」
「紫恋のこと、何か知らない?」
「え……」
シーバリウが顔を上げる。
「いえ……夏祭りの後、会っていませんから……」
「そう……」
夏祭りが終わり、一週間。ちょうどお盆の真っ最中。
その間、紫恋が電話に出てくれない。
実家が地元の待逢家は、お盆と言ってもどこかへ行くことはない。家に行けば、高士や神主はいる。でも、紫恋に会うことはできなかった。
「麦茶持ってくる」
うめが立ち上がり、台所へと行く。
それをシーバリウは上目遣いに見て、溜息をつく。
……何をしているのでしょうか、僕は……。
テーブルに広げられた教科書と問題集。
「夏休みの宿題、しません?」
いつもは「8月31日にやる派」のうめも、シーバリウに言われれば「イベントのひとつ」としてむしろ大歓迎だった。
「……」
「……」
でも、会話はない。
シーバリウは黙々と問題を解いている。問題集に視線を固定し、ただひたすら手を動かしている。
対して、うめも手は動かしているものの、ちらちらとシーバリウを見て、気にしていた。
「ねぇ、王子」
「はい、何かわからないところがありましたか?」
ばっと顔を上げるシーバリウに、うめが少し距離を取る。
「あ、えーっと、そういうわけじゃないんだけど……」
「そうでしたか……それでは勉強を続けますね」
と、再び問題集へと向かい、鉛筆を走らせる。
「……」
なーんか変なんだよなー。
……ううん、考え過ぎかも。
本当に変、という確証はないし、なんとなくだし。
「ねぇ、王子」
「はい」
「紫恋のこと、何か知らない?」
「え……」
シーバリウが顔を上げる。
「いえ……夏祭りの後、会っていませんから……」
「そう……」
夏祭りが終わり、一週間。ちょうどお盆の真っ最中。
その間、紫恋が電話に出てくれない。
実家が地元の待逢家は、お盆と言ってもどこかへ行くことはない。家に行けば、高士や神主はいる。でも、紫恋に会うことはできなかった。
「麦茶持ってくる」
うめが立ち上がり、台所へと行く。
それをシーバリウは上目遣いに見て、溜息をつく。
……何をしているのでしょうか、僕は……。