「……感じるのか?」
「ええ。まさか高士さんも?」
「お前と一緒にすんな。これだよ」
見れば、石が倒れている。縦横50センチはあろうかという巨大な石に、何か文字が掘られている。
「由来はわからないけど、何かを祭っていたはずなんだ……俺は別に霊や祟りは信じないけど、でもお前が言うなら話は別だ」
「うーん……」
シーバリウは近付き、石に触れる。
「これ、という感じはありません。感覚が麻痺しているのかもしれませんけど」
「麻痺?」
「この神社そのものが、僕の知っている感じと違うというか……言い換えると、借威対象の性質が全く異なるというか」
「わかるように言ってくれよ……」
「えーっと……」
そんなやりとりを横目で見ながら、紫恋とうめはほうきで落ち葉を掃く。
「……紫恋」
「……ん?」
少し遅れて、紫恋が反応する。
「今度、駅の方行こ!」
「え?」
「王子来てから遊びに行ってなかったでしょ、秋物とか見てこようよ」
「……なんで?」
「なんで、って……んー」
うめは迷う。
迷ってから、答える。
「今の紫恋、似てる」
「……何に?」
「昔も、今みたいなことあったよね」
心臓が、止まる。
「いきなり会いたくないって言い出して、会ってもなんか話とか乗ってこなくて……あの時と同じなのかなーって」
あの時……中学の時、うめがかわいがってた子犬の足を踏んで、折っちゃって……言えなくて……。
「あの時も機嫌良くなるまで時間掛かったなーって」
うめが歩み寄り、紫恋の手を取る。
「何があるかは訊かない。でも、元気のない紫恋を見るのは、嫌! 明るくなるまで、私がんばるから!」
「ええ。まさか高士さんも?」
「お前と一緒にすんな。これだよ」
見れば、石が倒れている。縦横50センチはあろうかという巨大な石に、何か文字が掘られている。
「由来はわからないけど、何かを祭っていたはずなんだ……俺は別に霊や祟りは信じないけど、でもお前が言うなら話は別だ」
「うーん……」
シーバリウは近付き、石に触れる。
「これ、という感じはありません。感覚が麻痺しているのかもしれませんけど」
「麻痺?」
「この神社そのものが、僕の知っている感じと違うというか……言い換えると、借威対象の性質が全く異なるというか」
「わかるように言ってくれよ……」
「えーっと……」
そんなやりとりを横目で見ながら、紫恋とうめはほうきで落ち葉を掃く。
「……紫恋」
「……ん?」
少し遅れて、紫恋が反応する。
「今度、駅の方行こ!」
「え?」
「王子来てから遊びに行ってなかったでしょ、秋物とか見てこようよ」
「……なんで?」
「なんで、って……んー」
うめは迷う。
迷ってから、答える。
「今の紫恋、似てる」
「……何に?」
「昔も、今みたいなことあったよね」
心臓が、止まる。
「いきなり会いたくないって言い出して、会ってもなんか話とか乗ってこなくて……あの時と同じなのかなーって」
あの時……中学の時、うめがかわいがってた子犬の足を踏んで、折っちゃって……言えなくて……。
「あの時も機嫌良くなるまで時間掛かったなーって」
うめが歩み寄り、紫恋の手を取る。
「何があるかは訊かない。でも、元気のない紫恋を見るのは、嫌! 明るくなるまで、私がんばるから!」