高速回転する石紐の束が、ゆっくりとむらさきの方へと向く。
「こっちよ! さあ、私だって餌になるんでしょ! 美味しいわよ、自慢じゃないけど娘よりも美味しいんだから!!」
「か、母さん??」
両手を振り、必死に注意を向けようとするむらさきに、紫恋は唖然としていた。
「さあ、こっちに来なさい!!」
が。
その首は再び紫恋へと向く。
「!!」
「紫恋!! 逃げて!」
「そ、そんなこと言っても体が」
「紫恋!」
「姉さん!!」
声。
うめの声。
高士の声!
「うめ! 高士!!」
石段を登り切り、二人は境内へと出る。その中央に石人、足の間から紫恋が見える。
「高士!? なんであんたまで」
「えっ、母さん!?」
右端、家の方に立つむらさきに、高士は愕然とする。
「なんで母さんまで……」
「高士君!」
「えっ」
「お願い、今は紫恋を!」
「……わかった。注意を引きつけるからその間に!」
高士はさらに勢いをつけて背後から石人へと向かい、うめは回り込んで紫恋へと向かう。
「とにかく注意を……ッ!?」
反応。
それは、自分でも驚くほど、鋭敏に感じ取れた、危険。
咄嗟に手を跳ね上げ、自分を弾き飛ばす軌道だった石人の腕をかろうじて受け流す。
「くゥッ!!」
いや、受け流すというよりも、石人の腕という「壁」を押して、自分の体を倒したと言った方が正しかった。それは、強化された体であっても、全く抗しきれない力だった。
さらに、腕が通過した後を追うように風が吹き荒れ、高士を押し流す。
「…………ッ」
その風に近づくことすらできない。
「なんて力なんだ……」
高士は、呆然とするしかなかった。
「こっちよ! さあ、私だって餌になるんでしょ! 美味しいわよ、自慢じゃないけど娘よりも美味しいんだから!!」
「か、母さん??」
両手を振り、必死に注意を向けようとするむらさきに、紫恋は唖然としていた。
「さあ、こっちに来なさい!!」
が。
その首は再び紫恋へと向く。
「!!」
「紫恋!! 逃げて!」
「そ、そんなこと言っても体が」
「紫恋!」
「姉さん!!」
声。
うめの声。
高士の声!
「うめ! 高士!!」
石段を登り切り、二人は境内へと出る。その中央に石人、足の間から紫恋が見える。
「高士!? なんであんたまで」
「えっ、母さん!?」
右端、家の方に立つむらさきに、高士は愕然とする。
「なんで母さんまで……」
「高士君!」
「えっ」
「お願い、今は紫恋を!」
「……わかった。注意を引きつけるからその間に!」
高士はさらに勢いをつけて背後から石人へと向かい、うめは回り込んで紫恋へと向かう。
「とにかく注意を……ッ!?」
反応。
それは、自分でも驚くほど、鋭敏に感じ取れた、危険。
咄嗟に手を跳ね上げ、自分を弾き飛ばす軌道だった石人の腕をかろうじて受け流す。
「くゥッ!!」
いや、受け流すというよりも、石人の腕という「壁」を押して、自分の体を倒したと言った方が正しかった。それは、強化された体であっても、全く抗しきれない力だった。
さらに、腕が通過した後を追うように風が吹き荒れ、高士を押し流す。
「…………ッ」
その風に近づくことすらできない。
「なんて力なんだ……」
高士は、呆然とするしかなかった。