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Machician - 第7話 灰色の鬼、白き翼 (13)
 高速回転する石紐の束が、ゆっくりとむらさきの方へと向く。
「こっちよ! さあ、私だって餌になるんでしょ! 美味しいわよ、自慢じゃないけど娘よりも美味しいんだから!!」
「か、母さん??」
 両手を振り、必死に注意を向けようとするむらさきに、紫恋は唖然としていた。
「さあ、こっちに来なさい!!」
 が。
 その首は再び紫恋へと向く。
「!!」
紫恋!! 逃げて!」
「そ、そんなこと言っても体が」
紫恋!」
「姉さん!!」
 声。
 うめの声。
 高士の声!
うめ! 高士!!」
 石段を登り切り、二人は境内へと出る。その中央に石人、足の間から紫恋が見える。
高士!? なんであんたまで」
「えっ、母さん!?」
 右端、家の方に立つむらさきに、高士は愕然とする。
「なんで母さんまで……」
高士君!」
「えっ」
「お願い、今は紫恋を!」
「……わかった。注意を引きつけるからその間に!」
 高士はさらに勢いをつけて背後から石人へと向かい、うめは回り込んで紫恋へと向かう。
「とにかく注意を……ッ!?」
 反応。
 それは、自分でも驚くほど、鋭敏に感じ取れた、危険。
 咄嗟に手を跳ね上げ、自分を弾き飛ばす軌道だった石人の腕をかろうじて受け流す。
「くゥッ!!」
 いや、受け流すというよりも、石人の腕という「壁」を押して、自分の体を倒したと言った方が正しかった。それは、強化された体であっても、全く抗しきれない力だった。
 さらに、腕が通過した後を追うように風が吹き荒れ、高士を押し流す。
「…………ッ」
 その風に近づくことすらできない。
「なんて力なんだ……」
 高士は、呆然とするしかなかった。
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