「僕が時間を稼ぎます、その間にうめさんを連れて逃げてください」
「時間を稼ぐって……」
シーバリウは剣を構える。
「今うめさんの痛みを取り除きます。そうしたら高士さん達と一緒に装甲多脚に乗って逃げてください。周りに住んでいる方がいれば一緒に……そして警察なりHACなりに助けを求めてください」
「……うめ」
「ッ?」
痛みの中、うめは紫恋を見上げる。
「……王子が死んだら、私はあんたに一生恨まれるだろうから、王子を置き去りになんてできない」
何より私が、あんたを見殺しになんかしない。
「ですが」
「代替案は?」
「……ありません」
「なくても出して、あんたが、ちゃんと助かる案を」
「……封印魔法なら……」
「その問題点は?」
「今の魔法力で封印魔法の使用量ぎりぎりです。威力が大きいため、皆さんに離れて頂かないと巻き込んでしまいます、最悪、死んでしまうことも」
「どこまで離れればいい?」
「ここからですと、川を越えた所までは離れる必要があります」
「じゃあそこまで装甲多脚で逃げるから」
シーバリウは首を振る。
「僕の強化魔法も切れてしまいました。掛け直せば封印魔法は使えません。おそらく装甲多脚も……」
装甲多脚は石人相手に善戦していたが、その外装は目に見えて形を変えていた。
「装甲多脚の外装は抗魔法力があるのですが、6人は乗れません」
「あ……」
しゃがみ込む母を、高士が石人から守るように支えている。すでに強化魔法は切れているにも関わらず。
「はは、結局私達みんな足手まといなんだね……」
「そんなこと言わないでください! いいですね、今魔法を」
「嫌だ!」
紫恋はシーバリウを睨む。
「言ったでしょ。あんたを置き去りになんてしない、絶対に! うめにとっても私にとっても、あんたが死ぬなんて絶対に嫌だ!!」
きっ、と石人を睨め付ける。
「私、やってみる」
「やってみるって、何を」
「私が鍵になってるんなら、私に力があるんなら、せめて囮にでも――」
そう、私はうめのために王子のためにッ!
「え――紫恋、さん……」
王子は、目を丸くした。
「何……?」
「……もしかしたら、うまくいくかもしれません」
「時間を稼ぐって……」
シーバリウは剣を構える。
「今うめさんの痛みを取り除きます。そうしたら高士さん達と一緒に装甲多脚に乗って逃げてください。周りに住んでいる方がいれば一緒に……そして警察なりHACなりに助けを求めてください」
「……うめ」
「ッ?」
痛みの中、うめは紫恋を見上げる。
「……王子が死んだら、私はあんたに一生恨まれるだろうから、王子を置き去りになんてできない」
何より私が、あんたを見殺しになんかしない。
「ですが」
「代替案は?」
「……ありません」
「なくても出して、あんたが、ちゃんと助かる案を」
「……封印魔法なら……」
「その問題点は?」
「今の魔法力で封印魔法の使用量ぎりぎりです。威力が大きいため、皆さんに離れて頂かないと巻き込んでしまいます、最悪、死んでしまうことも」
「どこまで離れればいい?」
「ここからですと、川を越えた所までは離れる必要があります」
「じゃあそこまで装甲多脚で逃げるから」
シーバリウは首を振る。
「僕の強化魔法も切れてしまいました。掛け直せば封印魔法は使えません。おそらく装甲多脚も……」
装甲多脚は石人相手に善戦していたが、その外装は目に見えて形を変えていた。
「装甲多脚の外装は抗魔法力があるのですが、6人は乗れません」
「あ……」
しゃがみ込む母を、高士が石人から守るように支えている。すでに強化魔法は切れているにも関わらず。
「はは、結局私達みんな足手まといなんだね……」
「そんなこと言わないでください! いいですね、今魔法を」
「嫌だ!」
紫恋はシーバリウを睨む。
「言ったでしょ。あんたを置き去りになんてしない、絶対に! うめにとっても私にとっても、あんたが死ぬなんて絶対に嫌だ!!」
きっ、と石人を睨め付ける。
「私、やってみる」
「やってみるって、何を」
「私が鍵になってるんなら、私に力があるんなら、せめて囮にでも――」
そう、私はうめのために王子のためにッ!
「え――紫恋、さん……」
王子は、目を丸くした。
「何……?」
「……もしかしたら、うまくいくかもしれません」