「お前達、本当にいいのか」
「しつこい!」
何度目かの確認。
高速で野を駆ける神主が、後ろに付いてくる高士と、高士がおぶさる紫恋に訊いた。
「私は当事者だもん、それにここにいる中では一応唯一魔法が使えるんだし」
「あんまり期待してねーけどな」
「うっさいわねー。それにね、私としては」
視線の先には、錦。
「パパさんが乗り気で動いてくれたのが嬉しいかな。やっぱりうめやママさんのため?」
「……よくこんな時に訊けるな」
「こんな時だから。色々わだかまりあるのヤダし」
「そうだな。うめのことは別にして、この前の王子」
あの石人に、たった一人で立ち向かう姿。
「あれを見せられたら、信じずにはいられない、期待せずにはいられないってことだよ」
「信じておいてなんなのだが……」
神主は疑問に思う。
「なぜ彼は、我々に対してあれだけのことをしてくれるのだろうか」
「彼は好きだからって言ってたけど、それだけじゃないかもね」
「なんだよ、損得考えて動くようには見えないけど」
高士が口を尖らせる。
「あらー、高士君がライバルの王子のことフォローするなんて」
「茶化すなよ」
「ま、裏はないと思うよ、それは断言する。でも」
紫恋の笑みは、憂いの笑み。
「ちょっと盲目的な所あるような気がする。王子、自分犠牲にして、って思わないで欲しいんだけどな」
「……確かに、誰も言わなかったけど今回の計画は王子に負担を掛けすぎているかもしれない」
「でもこっちもギリギリの人数なんだから、あんまり王子の心配もできないけど」
林の中で、3人は立ち止まり、高士は紫恋を降ろす。
『もう少し奥、その岩陰に2人、斜面の下に2人お願い』
その声はジャージの声。
「こんな奥でいいのか?」
『引き込んでからみんなが逃げられる場所を確保しなきゃいけないもの』
「なぁ、俺がいなくて本当に大丈夫か?」
錦が心配する。
『シーバリウが手伝ってくれるから大丈夫。そっちも4人だって少ないくらいなんだから』
「そうかもしれないけど……」
「今は、王子を信じよ」
紫恋は玉を取り出す。魔法が込められた法玉を、王子に重ねて見つめる。
「大丈夫、絶対にうまくいくから」
「しつこい!」
何度目かの確認。
高速で野を駆ける神主が、後ろに付いてくる高士と、高士がおぶさる紫恋に訊いた。
「私は当事者だもん、それにここにいる中では一応唯一魔法が使えるんだし」
「あんまり期待してねーけどな」
「うっさいわねー。それにね、私としては」
視線の先には、錦。
「パパさんが乗り気で動いてくれたのが嬉しいかな。やっぱりうめやママさんのため?」
「……よくこんな時に訊けるな」
「こんな時だから。色々わだかまりあるのヤダし」
「そうだな。うめのことは別にして、この前の王子」
あの石人に、たった一人で立ち向かう姿。
「あれを見せられたら、信じずにはいられない、期待せずにはいられないってことだよ」
「信じておいてなんなのだが……」
神主は疑問に思う。
「なぜ彼は、我々に対してあれだけのことをしてくれるのだろうか」
「彼は好きだからって言ってたけど、それだけじゃないかもね」
「なんだよ、損得考えて動くようには見えないけど」
高士が口を尖らせる。
「あらー、高士君がライバルの王子のことフォローするなんて」
「茶化すなよ」
「ま、裏はないと思うよ、それは断言する。でも」
紫恋の笑みは、憂いの笑み。
「ちょっと盲目的な所あるような気がする。王子、自分犠牲にして、って思わないで欲しいんだけどな」
「……確かに、誰も言わなかったけど今回の計画は王子に負担を掛けすぎているかもしれない」
「でもこっちもギリギリの人数なんだから、あんまり王子の心配もできないけど」
林の中で、3人は立ち止まり、高士は紫恋を降ろす。
『もう少し奥、その岩陰に2人、斜面の下に2人お願い』
その声はジャージの声。
「こんな奥でいいのか?」
『引き込んでからみんなが逃げられる場所を確保しなきゃいけないもの』
「なぁ、俺がいなくて本当に大丈夫か?」
錦が心配する。
『シーバリウが手伝ってくれるから大丈夫。そっちも4人だって少ないくらいなんだから』
「そうかもしれないけど……」
「今は、王子を信じよ」
紫恋は玉を取り出す。魔法が込められた法玉を、王子に重ねて見つめる。
「大丈夫、絶対にうまくいくから」