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Machician - 第9話 君がそこにいるから (3)
「彼らの目的は石人の核、稀法石です」
 シーバリウが緑色の玉をかざすと、石人とその核の映像が全員の頭の中へと伝わる。
「封印を解放するため、この足下にある五角形の棒、SHP-1344cを作動させています。完全に封印が解けた瞬間、周囲は粉々になってしまうでしょう。残念ながら全員がその範囲の外へ出る手段はありません。そこで」
 シーバリウは剣を手に取る。
「あの機械を破壊します」
「つまり、いかにワースの中を突破してあそこまでたどり着くか、ってことね」
 シーバリウはうなずく。
「この剣と魔法でもあの大群を突破するのは容易ではないでしょう。ワースにはおそらく抗魔法力が備わっていると思いますし、彼らの銃は何よりも脅威です」
 シーバリウが再び玉をかざす。リングガンのイメージが全員の頭に入る。
リングガンの説明は私がするね」
 ジャージシーバリウの隣に立つ。
リングガンは磁力で弾丸を撃ち出す銃だから、撃つ音が聞こえないの。それに高機能の自動照準が付いているし、弾丸は秒間100発くらい出るはず。しかも」
 弾丸の炸裂音が頭に鳴り響き、顔をしかめる。
「弾丸が特別で、車が当たったような衝撃が伝わったり、体の中に食い込んだり、当たってなくても麻痺するようなものもあるの」
「だから、狙われたり、撃たれたりしたら終わりということです。ですので、決して狙われない位置に皆さんを配置します」
「そんなことで大丈夫? ってゆーかあんたはあんなかに突っ込む気満々だし」
紫恋さん、ツッコミ入れてる暇はありません」
 と真面目に答えるシーバリウに、うめは笑いを堪えるのでいっぱいだった。
「まず、ジャージさんの装甲多脚で敵を引き寄せます」
 待逢神社の俯瞰図。中心の石人から、神社の脇にある林の中へと矢印が引かれる。
「この際に僕の魔法と装甲多脚の魔法でおびき寄せます。林の中にうまく引き込んだら、僕が用意した魔法で地の利を生かして足止めをしてください」
「魔法力はもつの?」
「今11時半ですので、明日の分を前借りします」
「そんなことできるんだ……」
「その間に僕がこの機械を壊します。あとは時間が来るまで逃げ切ります」
 矢印を裏山へと引く。
「この林の中であればワースの運動能力を削げますし、我々は道を熟知しています」
「暗闇の中?」
「身体強化の魔法と一緒に暗視の魔法も掛けます」
装甲多脚は?」
「あーそれは大丈夫、あれ頑丈だから。この前の石人相手でもちょっと外装がへこんだくらいだったし」
 シーバリウがカウントを見る。15分を切ろうとしていた。
「その他の質問は移動中にお願いします。それでは皆さん、よろしくお願いします」
 その言葉に、全員がうなずいた。
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