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Machician - 第9話 君がそこにいるから (18)
ジャージさん!!」
 ガナーシートからの狭い通路を降りると、足下にぬかるみ。
 それは、血溜り。左腕はなく、肩口のちぎれた筋肉から白い骨が見え隠れしている。
イルフ・リツ・バ・アルツィズィード!すこやかなるそよ風の吹く夏の青空の下へ
 シーバリウの手に持つジャージの左腕が消え、ジャージの左腕が再成し、血溜りが消え、ジャージが息をつく。
「ありがと……」
「まだ寝ていてください、これは僕が操縦します」
クラス違反よ。それに、まだ……うっ!」
「!!」
 装甲多脚に振動。
「なんです!?」
「撃たれてる」
 ジャージは頭を振り回して無理矢理意識を覚醒させる。オートパイロットを解除し、2本のレバーを再び握る。
「ここは体を固定できないし、モニターも壊れてるから上に上がってて」
 シーバリウはガナーシートに戻り、シートに座る。前面のモニターが点く。
「ルートは?」
 ふたりの頭に地域のイメージが浮かぶ。
「ルートなんてないわよ、足は右側ふたつだけ」
「右に曲がれない……」
「そゆこと。しかも腹を擦ってるからえっ!?」
 視界が、飛ぶ。
ジャージさん、周りが見えません!」
「スモーク! イレイサーなんて積んでないわよ!!」
「僕が魔法で吹き飛ばします!」
「え、ちょっと!」
 スイッチを入れ、ガナーシートを開く。上部の長方形のハッチが上へと持ち上がり、
「!!」
 すぐにスイッチを入れ替えて、ガナーシートを閉じる。
「どうしたの!? まさか毒ガス!?」
「いえ……スモークって、いろんな種類があるんですよね」
「そうよ」
「……強い抗魔法力を感じました」
「対魔法用!? ……! さん、神主さん、聞こえます!?」
 声は、届かない。
「連絡が取れない……ッ!!!」
 シーバリウの体が投げ出される。木に衝突し、装甲多脚が前につんのめり、逆立ちする。元に戻るときに車体が跳ね、残った2脚が衝撃で歪む。
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