「い、いや、ごめん! こんな時に何言ってるんだろうね、忘れちゃって、い、いいよ」
舞は呆気にとられて、顔を背ける俊雄を見上げていた。
「付き合うって、木村君……うん、そういうことなら、い」
「そうだよね、だいたい、舞さんは、朴さんのことが好きなんだものね……」
「え?」
聞き捨てならない言葉に舞は気づいた。
「それ、どういう意味?」
「え? どういう意味って……」
「ははははは、そんなわけないじゃない! あたしがあんなバカと……」
腹を抱えるほどに笑い出しても、俊雄は信じなかった。
「いいよ、気休めなんて……」
「気休めなんかじゃないって」
「少なくとも、僕にはそう見えた。みんなも、そう言ってた」
「……みんな? 恭子達?」
俊雄はこくんとうなずいた。舞は、その言葉の意味を捉えようと、頭の中で、何度となく繰り返し言ってみた。私が、雅樹のことを、好き……私が……。
「わ、私……」
顔を上げて光を受けると、その顔は紅潮していた。頭はパニック、何も考えられない表情だった。
「もしかして、本当に朴さんのこと、想ってなかったんじゃ……」
俊雄の表情は、そのひらめきに喜びさえ感じていた。
「私……そう、私……」
舞が俊雄の方を再び向いた瞬間、その表情を見て、俊雄は嫌な予感がした。
「私、雅樹のことが好きだったんだ!」
そのことに今この瞬間気づいた舞は、喜びさえ感じていた。
「え、いや、その、そう見えたってだけで……」
「ううん、そう、なんだかなー、なんであたしこんなことに気づかなかったんだろう。そうかー、私、雅樹のこと――」
またもや頭がめぐるましく回転して、相変わらず顔は真っ赤だったが、それでも顔は喜んでいた。
「あの……」
「木村君ごめん! ちょっと行くとこあるから。じゃ!」
そう言って走り去っていく舞の背中を見ながら、予感を的中させてしまった自分を呪って、つぶやいた。
「やぶへび……」
舞は呆気にとられて、顔を背ける俊雄を見上げていた。
「付き合うって、木村君……うん、そういうことなら、い」
「そうだよね、だいたい、舞さんは、朴さんのことが好きなんだものね……」
「え?」
聞き捨てならない言葉に舞は気づいた。
「それ、どういう意味?」
「え? どういう意味って……」
「ははははは、そんなわけないじゃない! あたしがあんなバカと……」
腹を抱えるほどに笑い出しても、俊雄は信じなかった。
「いいよ、気休めなんて……」
「気休めなんかじゃないって」
「少なくとも、僕にはそう見えた。みんなも、そう言ってた」
「……みんな? 恭子達?」
俊雄はこくんとうなずいた。舞は、その言葉の意味を捉えようと、頭の中で、何度となく繰り返し言ってみた。私が、雅樹のことを、好き……私が……。
「わ、私……」
顔を上げて光を受けると、その顔は紅潮していた。頭はパニック、何も考えられない表情だった。
「もしかして、本当に朴さんのこと、想ってなかったんじゃ……」
俊雄の表情は、そのひらめきに喜びさえ感じていた。
「私……そう、私……」
舞が俊雄の方を再び向いた瞬間、その表情を見て、俊雄は嫌な予感がした。
「私、雅樹のことが好きだったんだ!」
そのことに今この瞬間気づいた舞は、喜びさえ感じていた。
「え、いや、その、そう見えたってだけで……」
「ううん、そう、なんだかなー、なんであたしこんなことに気づかなかったんだろう。そうかー、私、雅樹のこと――」
またもや頭がめぐるましく回転して、相変わらず顔は真っ赤だったが、それでも顔は喜んでいた。
「あの……」
「木村君ごめん! ちょっと行くとこあるから。じゃ!」
そう言って走り去っていく舞の背中を見ながら、予感を的中させてしまった自分を呪って、つぶやいた。
「やぶへび……」