「でも、問題が起きる。計画はLWシリーズを大量生産までこぎ着けられれば良かった。のに、洋一はまったく別の計画を発動してしまう。それが」
「APシリーズ……」
「洋一は強い反発に会い、そしてAPとなった私達と、それを維持するためのスタッフとともに会社を出て、どこからか調達してきたファインダウト社なんてものに移り住んだ」
雅樹は怪訝な顔をして、質問する。
「んでもよ、なんでまた、反発されなきゃなんないんだ? 俺にはLWとかより、あんた達の方がよっぽど怖いけどな」
デリカシーのない言葉だと舞は思った。が、リシュネはそのまま話を続けた。
「一時は評価された。人間単体をこれまでとは比べものにならないほどの戦闘単位にするのだから。でも、あまりにも時間とコストが掛かりすぎるし、それに、人々の同意は決して得られないから……」
「そりゃそうだわ、人を改造して兵器にしちまうなんてどうかしてるか」
「違う、そんな理由じゃない」
ふたりは顔を見合わせた。
「……あなた達、気付かないの?」
雅樹の顔が曇り、そして、ゆっくりと口が開く。
「人間の地位をおとしめる……か」
「!……」
リシュネはうなずき、冷静な雅樹と驚きを隠せない舞とを見た。
「私達APは人間を遙かに超えている。運動、思考はもちろん、私達は病気に掛かることもなければ、メンテさえ定期的に行えば長寿が約束されている」
「……」
「APの存在は、人間の中に優劣を生むことになる。しかも、それは金の持つ者が力を握ることを意味する……そんなことを、自らの存在否定になることを私達にする洋一、彼がどんな意志を持ってそれを決意したのか、誰にも想像できるわけないでしょ……」
「……確かに、その洋一ってヤツはわけのわかんないことをするヤツらしいな」
「じゃぁ、リシュネは、左さんが何を目的にしてるか、知らないの?」
リシュネはうなずいた。
「……じゃぁ、なぜ、なんのために、APになったの?」
その問を放った直後、花瓶が割れベッドのフレームが歪み部屋の表面にひびが入る。リシュネはふたりを睨み付け、舞は後ずさった。
自分の状態に気付いてリシュネは力を抑え、うつむき、つぶやく。
「話したく、ない……」
リシュネは部屋を出ていった。取り残されたふたりは、沈痛な面もちを隠さずにいた。
「……ま、誰にだって話したくないこたぁあるさ」
雅樹はいつものにやけた表情を取り戻したが、舞は硬い表情のまま声を出すこともなくうなずくだけだった。
私は、人間より優れている……人間とは、違う存在……なの?
その問が、舞から離れることはなかった。
「APシリーズ……」
「洋一は強い反発に会い、そしてAPとなった私達と、それを維持するためのスタッフとともに会社を出て、どこからか調達してきたファインダウト社なんてものに移り住んだ」
雅樹は怪訝な顔をして、質問する。
「んでもよ、なんでまた、反発されなきゃなんないんだ? 俺にはLWとかより、あんた達の方がよっぽど怖いけどな」
デリカシーのない言葉だと舞は思った。が、リシュネはそのまま話を続けた。
「一時は評価された。人間単体をこれまでとは比べものにならないほどの戦闘単位にするのだから。でも、あまりにも時間とコストが掛かりすぎるし、それに、人々の同意は決して得られないから……」
「そりゃそうだわ、人を改造して兵器にしちまうなんてどうかしてるか」
「違う、そんな理由じゃない」
ふたりは顔を見合わせた。
「……あなた達、気付かないの?」
雅樹の顔が曇り、そして、ゆっくりと口が開く。
「人間の地位をおとしめる……か」
「!……」
リシュネはうなずき、冷静な雅樹と驚きを隠せない舞とを見た。
「私達APは人間を遙かに超えている。運動、思考はもちろん、私達は病気に掛かることもなければ、メンテさえ定期的に行えば長寿が約束されている」
「……」
「APの存在は、人間の中に優劣を生むことになる。しかも、それは金の持つ者が力を握ることを意味する……そんなことを、自らの存在否定になることを私達にする洋一、彼がどんな意志を持ってそれを決意したのか、誰にも想像できるわけないでしょ……」
「……確かに、その洋一ってヤツはわけのわかんないことをするヤツらしいな」
「じゃぁ、リシュネは、左さんが何を目的にしてるか、知らないの?」
リシュネはうなずいた。
「……じゃぁ、なぜ、なんのために、APになったの?」
その問を放った直後、花瓶が割れベッドのフレームが歪み部屋の表面にひびが入る。リシュネはふたりを睨み付け、舞は後ずさった。
自分の状態に気付いてリシュネは力を抑え、うつむき、つぶやく。
「話したく、ない……」
リシュネは部屋を出ていった。取り残されたふたりは、沈痛な面もちを隠さずにいた。
「……ま、誰にだって話したくないこたぁあるさ」
雅樹はいつものにやけた表情を取り戻したが、舞は硬い表情のまま声を出すこともなくうなずくだけだった。
私は、人間より優れている……人間とは、違う存在……なの?
その問が、舞から離れることはなかった。