「はーっ、間に合ったー」
信吾と恭子が体をくの地にしながら肩を上げ下げし、六人がそれをあっけに取られて見ていた。恭子の背中には、俊雄のものに勝るとも劣らないバッグがかつがれていた。
「恭子がさ……いきなり付いてくって言い出して……」
「そんな、危険だよ!」
そんな言葉を言う俊雄は五人に白い目で睨まれる。
「危険なのは判ってるけどさ」
恭子は荷物を降ろし、ベンチに座り込む。でも、上げた笑顔は明るかった。
「だって……いいでしょ?」
「いいでしょ……って、私は……」
雅樹はどちらでもいいといった顔をしていたが、舞はあからさまに「反対」の表情を見せていた。俊雄はさすがにこれ以上は言えなかった。
「……ダメ!!」
そう、舞はきっぱりと言った。
「恭子……木村君もそう、ふたりとも、これから何が起ころうとしているのか知ってるでしょ!? 命だって……」
「そんなの、舞だって同じじゃない!!」
「え――」
恭子の泣きそうなほど毅然とした表情が、にっこりと笑う。
「同じ、でしょ? 私、ずっとずっと、友達だって思ってたけど、間違ってた?」
恭子は立ち上がり、再びザックを背負い直す。
「言っとくけど、同情とかじゃないよ。って言っても、自分でもよく分かんないんだけどね。とりあえず、舞はひとりじゃないんだから……」
振り向きそして、言う。
「自分から離れてくなんてこと、私は許さない」
「恭子……」
「じゃ、行くか!」
雅樹の一声に、三人はうなずいた。
四人が駅へと入ったあと、見送り組の四人も家路に着く。
「おまえは、行かないのか?」
奨は信吾の肩を叩き、信吾は奨を見上げる。
「僕は……」
「月末には俺も行くんだ。気持ちが決まったら、家に来いよ。連れてってやるから」
「はい……」
「私も、行きたいな……」
車に乗ってから、リシュネも言う。
「今の段階だと活動時間には限界がある。それに、こっちはこっちでやらなきゃいけないことがあるんだからな」
「それがひいては、舞のバックアップになる……でも」
流れる町並みを眺めて、リシュネは憂鬱になる。
「そんなことより、あのふたりのこと、もっともっと、見ていたかったな……」
信吾と恭子が体をくの地にしながら肩を上げ下げし、六人がそれをあっけに取られて見ていた。恭子の背中には、俊雄のものに勝るとも劣らないバッグがかつがれていた。
「恭子がさ……いきなり付いてくって言い出して……」
「そんな、危険だよ!」
そんな言葉を言う俊雄は五人に白い目で睨まれる。
「危険なのは判ってるけどさ」
恭子は荷物を降ろし、ベンチに座り込む。でも、上げた笑顔は明るかった。
「だって……いいでしょ?」
「いいでしょ……って、私は……」
雅樹はどちらでもいいといった顔をしていたが、舞はあからさまに「反対」の表情を見せていた。俊雄はさすがにこれ以上は言えなかった。
「……ダメ!!」
そう、舞はきっぱりと言った。
「恭子……木村君もそう、ふたりとも、これから何が起ころうとしているのか知ってるでしょ!? 命だって……」
「そんなの、舞だって同じじゃない!!」
「え――」
恭子の泣きそうなほど毅然とした表情が、にっこりと笑う。
「同じ、でしょ? 私、ずっとずっと、友達だって思ってたけど、間違ってた?」
恭子は立ち上がり、再びザックを背負い直す。
「言っとくけど、同情とかじゃないよ。って言っても、自分でもよく分かんないんだけどね。とりあえず、舞はひとりじゃないんだから……」
振り向きそして、言う。
「自分から離れてくなんてこと、私は許さない」
「恭子……」
「じゃ、行くか!」
雅樹の一声に、三人はうなずいた。
四人が駅へと入ったあと、見送り組の四人も家路に着く。
「おまえは、行かないのか?」
奨は信吾の肩を叩き、信吾は奨を見上げる。
「僕は……」
「月末には俺も行くんだ。気持ちが決まったら、家に来いよ。連れてってやるから」
「はい……」
「私も、行きたいな……」
車に乗ってから、リシュネも言う。
「今の段階だと活動時間には限界がある。それに、こっちはこっちでやらなきゃいけないことがあるんだからな」
「それがひいては、舞のバックアップになる……でも」
流れる町並みを眺めて、リシュネは憂鬱になる。
「そんなことより、あのふたりのこと、もっともっと、見ていたかったな……」