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風雅、舞い - 第七章 告白 (6)
「じゃ、次はこっちの番だな」
 雅樹が右腕を構える。
「動くなよ、一発目は外すからな」
「……」
 直撃は致命的。舞は雅樹を信じて、無防備に立つ。
「銀炎煌々」
 右手に灯るのは、白い光。その右腕を振るう。
「旋、閃ッ」
 腕の軌跡の延長上に白い面が生まれ、舞の左肩をかすめる。背後の金網が軌跡通りに断線した。
 焼け焦げる臭いの中、舞はその光があった場所を感じる。水蒸気の状態から熱量を読み取り、口をぎゅっと結んだ。
 だが。
「じゃ、今度は当ててね」
 舞は両腕を振るい、大量の水が舞のまわりを舞う。
「躱せよ」
「やだ」
「なら撃たない」
「じゃあこっちからいくから!!」
 左腕を振るって水槍が飛ぶ。水量は先の比ではない。
「ったく、仕方ねぇな! 死ぬんじゃねぇぞ!」
 そう言う雅樹の口元は、少し緩んでいた。
「銀炎、」
 走りつつ右腕を構え、
「旋閃ッ!」
 振るう。
「っ!!」
 両腕を振るったのを最後に舞の姿が消える。光の壁が生まれると同時に割れる。空気が強く震え、大気が霧に変わり、光と共に白く閃く。
 手応えは、分からない。
「ちっ……甘え過ぎか」
 穂香にすべてを任せていたから、今の状態で感じ取れるものが何ひとつない。穂香がいれば、そう思ってしまう自分を厭う。
 それでも。
「大丈夫だからねー」
 舞ののんびりした声で雅樹は自分を取り戻す。爆音が止みつつある中、わずかに指を弾く音が聞こえた。霧が一気に晴れ、地面に仰向けに倒れてる舞の姿が現れる。
「っ、たく、全然大丈夫じゃねぇだろうが」
「体は動かないけど、手足は動くから」
 言いつつそれを確認して、でも舞は起きあがれない。
「同じように爆散させようとしたのか?」
「成功はしたけど、そのショックでこれじゃね。でも」
 舞は右腕を伸ばした。
「次は、完全に止めるから」
「なら自分で起きあがれ」
 雅樹はぷいとそっぽを向き、舞はぶーとなった。
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