霧の中を、ふたりは駆けていく。
乳白色の霧を切り裂いて、早朝の森を昨日のように駆けていく。
昨日のように。
大丈夫、感づかれていない。きっと。
穂香も騙せ通せているかどうか自信がないながらも、自分は平静を装うことができていると舞は感じていた。
「あとどのくらい?」
「おまえ、それもう何回目だ?」
あ。
「もうすぐだって聞かされてたら、もうすぐだと思っちゃうわよ。さっきよりペースは上げてるんだし」
「確かにな。えーっと」
雅樹は周りを見渡す。
『消え去れ!』
舞が走りつつ両腕を広げれば、周囲100メートルの霧が晴れた。
「サンキュ。……おっと」
雅樹は立ち止まる。
「道間違えた」
「あんたねぇ……」
「でも、到着だ」
え? という舞を置いて、雅樹は別の方角へと走っていく。雅樹が入っていった洞窟へと、後を追って入る。
「!!」
舞は思わず立ち止まった。
強い違和感、同時に既視感。
これ、この感じ……そうだ、碧き泉だ。全然違うのに……似てる。
洞窟の先に光が見える。そこを抜けると、岩に囲まれた空間が現れ、畑の中に家が数えられる数、建っていた。
「ここが……」
「俺の故郷、朱き泉の村だ」
乳白色の霧を切り裂いて、早朝の森を昨日のように駆けていく。
昨日のように。
大丈夫、感づかれていない。きっと。
穂香も騙せ通せているかどうか自信がないながらも、自分は平静を装うことができていると舞は感じていた。
「あとどのくらい?」
「おまえ、それもう何回目だ?」
あ。
「もうすぐだって聞かされてたら、もうすぐだと思っちゃうわよ。さっきよりペースは上げてるんだし」
「確かにな。えーっと」
雅樹は周りを見渡す。
『消え去れ!』
舞が走りつつ両腕を広げれば、周囲100メートルの霧が晴れた。
「サンキュ。……おっと」
雅樹は立ち止まる。
「道間違えた」
「あんたねぇ……」
「でも、到着だ」
え? という舞を置いて、雅樹は別の方角へと走っていく。雅樹が入っていった洞窟へと、後を追って入る。
「!!」
舞は思わず立ち止まった。
強い違和感、同時に既視感。
これ、この感じ……そうだ、碧き泉だ。全然違うのに……似てる。
洞窟の先に光が見える。そこを抜けると、岩に囲まれた空間が現れ、畑の中に家が数えられる数、建っていた。
「ここが……」
「俺の故郷、朱き泉の村だ」