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風雅、舞い - 第八章 朱と碧 (10)
「赤葉様、舞はどうだった?」
 朱き泉、炎が燃えさかる中に雅樹と赤葉が立つ。
「朴とはだいぶ違うな」
「あいつは不死じゃないしな。ずっと泉を受け継ぐ者は俺みたいになるもんだと思ってたんだが、そうでもないらしい」
「なんだ、信じておらんかったのか? 以前、泉を継いだ者の話をしただろう」
「悪いが信じてなかった。昔は……そんな余裕なかったんだ」
 目を伏せる雅樹。赤葉も憂う。
「そうだな……あの娘には、余裕がある。覚悟がある。だからか、強い芯が見て取れる。時代が違う、環境が違う、何もかも違う」
「芯、か……俺は昔」
「昔の話などどうでも良い。もう済んだことだ」
「ああ……ん、穂香が『感じられた』って言ってる。え……?」
 雅樹は周りを見回す。
「マジかよ……」
「どうした?」
「その龍脈ってのが、地球全体を包んでるんだとよ」
「当たり前だろう」
「あ、当たり前って」
「陰陽思想の元は中国だからな。日本に限った話ではない」
「じゃあ……なんで、日本だけなんだ?」
「む……」
 その問いに赤葉は答えられない。
「柊は?」
「……ああ……えっと、龍脈には地域ごとに温度差があって、特に日本が熱くなってる、って言ってる」
「温度差?」
「実際に熱いんじゃないんだろうけど……時期的なものじゃないか、とのことだ。長い時間を掛けて、その温度差が変わっていって……ちょうど今年、日本が爆発するんじゃないかって……あーわりぃ、穂香は爆発なんて言ってないから」
「ちょうど日本が、か……」
 それは本当に偶然なのかと、赤葉は呪うように思った。
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