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風雅、舞い - 第九章 四人 (3)
「結局、これはなんだったんだ?」
 疲れた雅樹の隣に、鷹人も座る。
「白葉様に頼まれたんだ」
「白葉様!?」
 鷹人は血相を変える。
「どういうことだ……?」
「なぁに、簡単なことだ。俺とおまえはこの泉で一番と二番、だから本当に強い方と穂香が結ばれるべきだ、ってな」
「白葉様が考えそうな事だな……」
「俺はもちろん断ったんだぜ?」
「……おまえ、もし勝ったらどうする気だったんだ?」
「おまえと穂香の駆け落ちを勧めてた」
「おい」
「本気だぜ? 俺は穂香にゃ興味ないし」
「この里の未来にも興味はない、か?」
「……」
 雅樹は体を起こして、先にある里の石壁を見る。
「本当の事を言うと、鷹人がここにいてくれるんなら、俺は降りるつもりだ」
「そうか……ん? 俺が駆け落ちする事になってたら、おまえはここに残るつもりだったのか?」
「ま、それも悪くない、ってな」
 石壁から出てきた人影を見つけて、雅樹は立ち上がる。
「おまえは堅いからなぁ、駆け落ちを勧めてもする気ないだろ」
「当たり前だ」
 麓で聴く不安な噂を聞けば、ここが危険だということは理解できる。だからこそ、自分はここにいなければならない。
「じゃ、彼女に勧めてみるか」
「な!?」
 近寄ってくるふたりの女性を背に、雅樹はにやりと笑った。
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