鷹人と穂香に注視していた白葉は、雅樹が赤葉と目配せしていたことに気付かない。
『炎よ!!』
赤葉の声と共に白葉の周りに炎が立つ。
『!? 静まれ!』
立ち上った炎が粉々に砕け消える、と同時に首筋に刃が当てられる。
「!」
「雅樹、おまえ!!」
白葉の背後に立つ雅樹は、鷹人と穂香に向かって言う。
「早く、みんな連れて逃げろ」
「なに!?」
「お願いだから!」
雅樹の側に来る赤葉も言葉を添える。
「赤葉! なぜおまえまでもが!」
「ごめんなさい、おばあちゃん。でもね……無理にここに残る必要はないと思うの。戦争が終わったら、また戻ってこれるかもしれないし」
「ならん! それだけはならん、泉が果てればもう誰もここには戻ってはこん!」
「それだっていいじゃんか、みんな生きてれば」
「良くない!!」
大声で反論する白葉、後ろでなんとか説得しようとする雅樹と赤葉。その前で、鷹人と穂香が逡巡していた。
「……鷹人、どうするの?」
「穂香は?」
「鷹人が決めて」
けれども、ふたりは互いに意見が違う事を知っていた。穂香は退却を望み、鷹人は泉を護るべきだと考えていた。だから、言葉が出ない。
鷹人は、上を見上げた。
『炎よ!!』
赤葉の声と共に白葉の周りに炎が立つ。
『!? 静まれ!』
立ち上った炎が粉々に砕け消える、と同時に首筋に刃が当てられる。
「!」
「雅樹、おまえ!!」
白葉の背後に立つ雅樹は、鷹人と穂香に向かって言う。
「早く、みんな連れて逃げろ」
「なに!?」
「お願いだから!」
雅樹の側に来る赤葉も言葉を添える。
「赤葉! なぜおまえまでもが!」
「ごめんなさい、おばあちゃん。でもね……無理にここに残る必要はないと思うの。戦争が終わったら、また戻ってこれるかもしれないし」
「ならん! それだけはならん、泉が果てればもう誰もここには戻ってはこん!」
「それだっていいじゃんか、みんな生きてれば」
「良くない!!」
大声で反論する白葉、後ろでなんとか説得しようとする雅樹と赤葉。その前で、鷹人と穂香が逡巡していた。
「……鷹人、どうするの?」
「穂香は?」
「鷹人が決めて」
けれども、ふたりは互いに意見が違う事を知っていた。穂香は退却を望み、鷹人は泉を護るべきだと考えていた。だから、言葉が出ない。
鷹人は、上を見上げた。