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風雅、舞い - 第九章 四人 (8)
「……雅樹、おまえは矛盾している」
「!?」
 再び雅樹を見つめて、鷹人は語り始める。
「おまえ、しんがりを努めるつもりだろう」
「ああ」
「死ぬ気か?」
「……いんや、赤葉がいるんだ、死ぬ気なんかさらさらないよ」
「相変わらず、赤葉は嘘が下手だな……」
 目を伏せる赤葉に、鷹人は優しい目を向ける。
「……」
「死ぬ気のおまえ達ふたりの方が、ここにこだわってるように見えるな」
「鷹人」
 一歩前に出て、穂香が鷹人の目を見る。決意した瞳。
「俺達はここで生まれて、ここで育った。下界なんて数えるほどしか降りてない。結局は、ここを離れて生きるなんてこと、できっこないんだ」
「できなくなんて」
「自分達にできないことを押し付けるな!」
 鷹人は声を荒げて雅樹を諫める。
「ふん、決まったな」
 白葉は喉元の刃を押しのけ、気の抜けた雅樹はそれを許す。
 が。
「赤葉、まだ拘束してて」
「なに?」
「えっ、うん」
 穂香の言葉に呼応して、赤葉は手をかざし炎で白葉の道を遮る。
「どういうことだ」
「案は私が決める。まず村人全員に意見を聞き、希望者のみ残ってもらう」
「それでは人数が足りないと」
「士気が低いと意味がない。下で待ち伏せるには迅速な展開が必要だ、嫌々やってもらっては困る。鷹人もいい?」
「ああ、もちろんだ」
 鷹人は納得ずくでうなずいた。
「駄目だ」
「白葉様にはここで隠居してもらう」
「なんだと!?」
 目を剥く白葉に、鷹人は淡々と言った。そして、穂香に確認を取る。
「それでいいんだろ?」
「ええ」
 穂香もうなずいた。
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