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風雅、舞い - 第九章 四人 (12)
『黄色き炎よ、瞬きを呼び覚ませ!!』
 赤葉の言葉と共に、空間にまばゆき光が現れる。
「ギャッ!」
「うわっ!!」
 部隊全員が目を眩ませる。総崩れとなった部隊めがけて、姿勢を低くしたまま掛ける雅樹。
「炎の守護者、朴雅樹、参る!!」
「な……ギャァアアア!!」
 雅樹の刀が指揮官の腕を斬り落とす。
「し、指揮官!?」
「うわぁぁぁあ!」
 発砲音が上がる。一斉に全員が銃を構え、阿鼻叫喚と発砲音が相互に鳴り響く。
『赤き炎よ!』
『蒼き炎よ!』
 前後から炎が飛ぶ。体が赤き炎が包み、頭が蒼き炎で消し炭となる。
「あ、あ、あ……」
「さ、散開!!」
 誰かの声と共に、部隊は両翼に分かれる。生き残った二十名が二手に分かれ、野原の外、木々の中へと入る。
 獣道ではない、ただの山野。開けているように見えて、それは天然の迷路。
「あああ!」
「ギャッ!」
 その中に迷い込み、罠に掛かる。二十人の声は、あっという間に消えた。
「な……な……」
 草が焦げ、死体が転がる中、指揮官だけが腕の痛みに苦しみながらも、現状をなんとか把握しようとしていた。その側に、雅樹が立つ。
「おっさんには色々訊きたいことがあるんだ」
 しゃがみ込む雅樹の顔を、おびえた目で見上げていた。
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