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風雅、舞い - 第九章 四人 (15)
 兵士達の後ろに鷹人が見える。それを注視せず、脇に回り込むようにして、銃口から体を逸らす。銃弾が脇をかすめる。狙いはそれほど正確ではないと判断して、できる限り後退しないようにする。あと少し、あと少し……。
 そして鷹人が追いつく。
 瞬時に兵士三人が斬り落とされる。背後からの攻撃に兵士達は振り向く。
「うぉおおお!!」
 吠え声を上げて雅樹は突っ込む。その声に反応して再び振り向く兵士達。
『蒼き炎よ!』
 頭上から振り落ちる蒼炎が兵士の頭部を消し飛ばす。それでも引き金を引くが、狙いは外れていた。
 雅樹が刀を薙ぐ。
 密集した兵士達は、前後からの挟撃に右往左往する。雅樹と鷹人が全く躊躇することなく刀を振るう。互いの切っ先は決して触れることなく、だが独立することもなく互いの存在を活用して斬り倒していく。
 倒している、はずだった。
 兵士の肩を薙いで次の兵士へと向かい、斬り上げようとする。が。
「……?」
 反射的に脇へと躱し、そこを銃弾が過ぎて、今斬り上げようとした兵士へと当たる。先に斬った兵士の肩口にには明らかに傷があった、が、それはもはや軽傷に過ぎない。
「か、回復……」
 周りを見回す。すでに斬り倒した兵士達が、起きあがっている。
 雅樹は、呆然となった。
「足を止めるな!!!」
 鷹人が雅樹の前を遮る。
 銃弾が、命中した。
「たかとぉ!!!」
 穂香の声が、聞こえた。
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