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風雅、舞い - 第九章 四人 (18)
「どういうこと……?」
「白葉様の事か……」
 赤葉はうなずいた。
「さっき、おばあちゃんが死んだって、感じたの。泉から出てなかったら、その泉に入って……殺した人がいるってことだもの……」
「そんな……」
「その通り」
 全員が振り向いた先に、男が立っている。黒のタンクトップを着た細身の男が、笑っている。
「なにもんだ」
「あんたらと同じ、泉の洗礼を受けたもんだよ」
「!?」
 三人は身構える。敵だとは判っていた。だが、洗礼を受けた人間は、この村にはいない。
「あー、安心しなよ。えっと……」
 三人をひとりずつ値踏みする。
「その女」
 赤葉を指さす。
「おまえだけ連れてけばいいか。他のふたりはいらん。とっとと消えろ」
「ふざけるな!!」
 赤葉の前に立ち、刀を構える。
「ふん」
 男は鼻で笑い、跳ぶ。直線的に、雅樹へと向かう。
「赤葉!!」
 同時に雅樹が右に赤葉が左に跳ぶ。その間に男が降りる。
『蒼き炎よ』
 雅樹が薙ぐ。
『死の色と共に』
 男の首を
『消し』
 刃が折れ
『とっ!?』
 切っ先が赤葉をかすめ
「!!」
 左膝が折られ
『とっ、飛ばせ!!』
 赤葉の蒼炎が男の肩に当たる。
 雅樹はしりもちをついてもがく。
 男は、ひび割れた肩口越しに、赤葉を見て、幻滅していた。
「なんだ、洗礼受けてないのか……」
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