村にたどり着いて、三人は振り返る。
まるで「一緒に歩いてきた」ように、男が立っている。
「早く逃げなよ」
そう言われるまでもなく村の中へと入る。雅樹は穂香に肩を支えられて歩いているため、その足は速くない。穂香と赤葉の炎が男を牽制するが、全く意味をなしていなかった。
三人は、ひび割れた階段を下りて、朱き泉へと入る。
「おばあちゃん!!」
赤葉はがれきからわずかに見える白葉の手を握り、涙した。
「さーて、どうすんの?」
泉の中央で、三人は振り返る。入り口側に立つ男を見る目は、おぼろげなものとなっていた。自分達の何倍もできる白葉様が、泉にいながら、この男に殺されていた、という事実。
「……なぜだ?」
「俺のいた泉はこことはだいぶ違うんだが、それでも泉は泉だ。どうやら場所に関わらず、泉ってのは洗礼を受けた者を受け入れてくれるらしいな」
『炎よ!!』
殺気を含む赤葉の声と共に朱き泉から炎が立ち上り男へと向かう。だが、それは直前に掻き消える。
「そ、そんな」
うなだれる赤葉。まともに立つことすらできず、半分に折れた刀しか持たず、それでも睨み付けることをやめない雅樹。
その後ろから、穂香がささやく。
「最後の賭に出る」
「賭……まさか」
「雅樹、経験は?」
「三度やってだめだった」
穂香はあからさまに舌打ちする。
「あたし五度もやったけど……」
さらに後ろで赤葉がささやく。
「じゃ、あたしだけ!」
穂香は朱き泉に飛び込む。
「確率は上げるもんだ!」
「うん!」
二人も続けて飛び込む。
赤葉の肩に激痛が疾った。
まるで「一緒に歩いてきた」ように、男が立っている。
「早く逃げなよ」
そう言われるまでもなく村の中へと入る。雅樹は穂香に肩を支えられて歩いているため、その足は速くない。穂香と赤葉の炎が男を牽制するが、全く意味をなしていなかった。
三人は、ひび割れた階段を下りて、朱き泉へと入る。
「おばあちゃん!!」
赤葉はがれきからわずかに見える白葉の手を握り、涙した。
「さーて、どうすんの?」
泉の中央で、三人は振り返る。入り口側に立つ男を見る目は、おぼろげなものとなっていた。自分達の何倍もできる白葉様が、泉にいながら、この男に殺されていた、という事実。
「……なぜだ?」
「俺のいた泉はこことはだいぶ違うんだが、それでも泉は泉だ。どうやら場所に関わらず、泉ってのは洗礼を受けた者を受け入れてくれるらしいな」
『炎よ!!』
殺気を含む赤葉の声と共に朱き泉から炎が立ち上り男へと向かう。だが、それは直前に掻き消える。
「そ、そんな」
うなだれる赤葉。まともに立つことすらできず、半分に折れた刀しか持たず、それでも睨み付けることをやめない雅樹。
その後ろから、穂香がささやく。
「最後の賭に出る」
「賭……まさか」
「雅樹、経験は?」
「三度やってだめだった」
穂香はあからさまに舌打ちする。
「あたし五度もやったけど……」
さらに後ろで赤葉がささやく。
「じゃ、あたしだけ!」
穂香は朱き泉に飛び込む。
「確率は上げるもんだ!」
「うん!」
二人も続けて飛び込む。
赤葉の肩に激痛が疾った。