炎が、止んだ。
頭を抱えて震えていた赤葉は、腕の間から泉の奥を見ようとする。が、砂埃ばかりで何も見えない。
「ひっ」
その中から出てくる人影は、雅樹。左手には先ほどの男が血を垂れ流したまま掴まれている。
が、それでも震えは止まらない。
「まさ……き……」
見開かれた眼が赤葉を捉えている。標的として認識している眼。猛禽の眼。
右腕が上がる。
『あっ赤き炎よ!!』
咄嗟に放った炎が雅樹に直撃する。雅樹の体が燃え上がる。
「あ……あ……ご、ごめんなさ」
降ろさなかった右手から炎が舞った。
気が付いたとき、赤葉はまだそこにいた。
泉の入り口。先には瓦解した朱き泉。もう、祖母の遺体は見えない。
自分の体を確認する。少しのやけどと、男にされた肩と足の他に痛みはない。
立ち上がり、泉を出る。
中にも外にも、雅樹はいなかった。
「……」
ただただ、涙だけが止まらなかった。
頭を抱えて震えていた赤葉は、腕の間から泉の奥を見ようとする。が、砂埃ばかりで何も見えない。
「ひっ」
その中から出てくる人影は、雅樹。左手には先ほどの男が血を垂れ流したまま掴まれている。
が、それでも震えは止まらない。
「まさ……き……」
見開かれた眼が赤葉を捉えている。標的として認識している眼。猛禽の眼。
右腕が上がる。
『あっ赤き炎よ!!』
咄嗟に放った炎が雅樹に直撃する。雅樹の体が燃え上がる。
「あ……あ……ご、ごめんなさ」
降ろさなかった右手から炎が舞った。
気が付いたとき、赤葉はまだそこにいた。
泉の入り口。先には瓦解した朱き泉。もう、祖母の遺体は見えない。
自分の体を確認する。少しのやけどと、男にされた肩と足の他に痛みはない。
立ち上がり、泉を出る。
中にも外にも、雅樹はいなかった。
「……」
ただただ、涙だけが止まらなかった。