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風雅、舞い - 第九章 四人 (27)
 ぎぃ。
 刀は、硬化し丸太大に肥大した左腕の三分の二まで斬り降ろされて、そこで止まった。
『蒼炎』
 冷静な言葉と共に刀が青白く光り、すぐさま引き抜く。それを追うように右腕が振るわれ、空を切る。
「全身が武器、か」
 右腕には、左腕のような大きな変化はない。が、右手の爪は雅樹の服を難なく切り裂いていた。
「ぎ、が」
 その二言の間に左腕の傷が閉じる。
「……」
 様子見で下がったのは失敗だった。反撃を覚悟して、蒼炎で焼き尽くすべきだった。この回復力とスピードは、危険だ。
 ……別に、問題は、ない。
 今、殺ればいい、だけだ。
「!!」
 行雄は目を見開く。体から露わになる「皮膚」を、奇妙なグラデーションが流れる。
 雅樹の、目。
 体に張り巡らされた「異物」が、警告した。
 雅樹が一歩、踏み出す。
 行雄は、警告に従った。
「あっ、赤炎……」
 そう言って振りかぶった時には、すでに行雄の姿はなかった。
「そうか……ま、それならいいか」
 穂香の確認を聞いて雅樹は炎を消し、刀を納める。消えた先、森の奥を見て、愚痴る。
「……リシュネよりかずっと弱い、が」
 作れるのなら、問題だな。
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