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風雅、舞い - 第十章 剣と魔法 (3)
「俺とおまえとじゃ、体格が全然違うだろ?」
 雅樹は上段に構えて振り降ろす。舞はそれを受ける。
「う”ッ」
 刀とはいえ、重い。
「舞に『力勝負』という選択肢はないんだ」
「それって不利ってことじゃない」
「だから、そう言ってるんだろ?」
 もう疲れた、という表情を見せて刀を鞘に収める。不満そうな表情を見せながら、舞も水の剣を元の水へと戻し、水筒へと返す。
「どんな状況でも勝つ、なんてことは無理なんだ。自分の有利な状況、不利な状況を把握して、その状況にいかに持ち込むか、ってのが重要なんだ。そのくらいわかるだろ?」
 わかっていないのは、雅樹よ……私は、剣であんたに勝ちたい、それだけなんだから……。
 不満そうな表情は変えず、
「わかったし、わかってるけど、不利な状況っていうのも体験しておきたいし、その対処方法も見つけておきたいから、もう少しつきあって」
「たく……」
 雅樹は背中から不満そうな雰囲気を放ちつつ、村へと向かっていった。舞もそれにゆっくりとついて行く。
「? 次は赤葉様のところか?」
「うん、午後は術を教わるから」
 そうだ、気持ちを切り替えなきゃ。
 舞は顔をぱちんと叩いた。
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