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風雅、舞い - 第十章 剣と魔法 (6)
「これも、血の能力を幾ばくか借りとるからな、真の意味では異なるが、術とは本来こういうものだ」
「本当に魔法みたいですね」
「結白殿は知らぬのか?」
「……わかりません」
 それは曖昧な答えではなく。
「一応、習ってはいたんです、母さんはこういうの使えたし。でも、てっきりそれはただのかけ声で、意味があるとは思わなくて……」
「間違ってはないよ。体系立てられたものもあるとは聞くが、この身に受け継いだのは血の能力を呼び覚ますための言葉だけ。時には念じるだけで発動もする」
「それじゃ本当に超能力ですね」
「しかし、それでは血に宿す能力、泉の力しか使えん。術は本来、術者に関係なく使えるものだからな」
 バリエーションを広げるべき、ということ。
「とはいえ、ここで教えられることと言えば、基本的な術と、火の力くらいだがな」
「それで構いません。どちらかというと、水の力は補助的な面が強いので、攻撃性の高い火の力は必要だと思います」
 赤葉は頷く。
「だが、それは後回しだ。まずは基本、特に泉の能力について学んでもらう。結白殿は、戦う力を身につけると同時に、他の泉を発見するための力も付けなければならんからな」
 そうだ。
 残る、風の泉と地の泉。
 来年の春に来る、災厄の日までにその場所を見つけなければならないのだから。
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