ぴく、と舞の手が反応した。
一瞬、舞の表情がこわばる。それにつられて赤葉の表情が硬くなったときには、舞の表情はすでに緩んでいた。
「あ、なんだ……」
「どうした?」
「あ……以前話したAPのひとり、リシュネが来たんです。うわ、すごく速い……」
赤葉も手をかざす。とてつもない力、以前来た男を遙かに凌ぐ、溢れんばかりの力。その「力」が、とてつもないスピードで山林を駆けている。
「これが、AP……」
雅樹や舞とは違う、異質な感触。普通の術者や泉の洗礼を受けた者は、『触って』みなければ、その能力は感じ取れない。
だが。
このAPという存在はなんだ。自らの力を誇示するように、触れようとする掌を激しく叩いている。
赤葉の表情は、硬いまま。
「大丈夫ですよ、リシュネは」
赤葉は舞を見上げた。
「……今の感触、感じていないのか?」
「あ、ざらっとしたのですか? 前から少し感じてたから、慣れてたのかも……」
自分でも計りかねる感覚に想像を巡らせるのをやめて、舞は駆け出す。
「出迎えてきますね、場所わからないかもしれないから」
「しかし」
「それに、私達なら、大丈夫だから」
大丈夫、だから。
ふと口をついて出た言葉に、自分自身で驚いていた。
何が、大丈夫なのか。
そんな疑問を浮かべながら、それよりも、もうひとつの疑問が頭をよぎっていた。
なぜここが、わかったのか。
一瞬、舞の表情がこわばる。それにつられて赤葉の表情が硬くなったときには、舞の表情はすでに緩んでいた。
「あ、なんだ……」
「どうした?」
「あ……以前話したAPのひとり、リシュネが来たんです。うわ、すごく速い……」
赤葉も手をかざす。とてつもない力、以前来た男を遙かに凌ぐ、溢れんばかりの力。その「力」が、とてつもないスピードで山林を駆けている。
「これが、AP……」
雅樹や舞とは違う、異質な感触。普通の術者や泉の洗礼を受けた者は、『触って』みなければ、その能力は感じ取れない。
だが。
このAPという存在はなんだ。自らの力を誇示するように、触れようとする掌を激しく叩いている。
赤葉の表情は、硬いまま。
「大丈夫ですよ、リシュネは」
赤葉は舞を見上げた。
「……今の感触、感じていないのか?」
「あ、ざらっとしたのですか? 前から少し感じてたから、慣れてたのかも……」
自分でも計りかねる感覚に想像を巡らせるのをやめて、舞は駆け出す。
「出迎えてきますね、場所わからないかもしれないから」
「しかし」
「それに、私達なら、大丈夫だから」
大丈夫、だから。
ふと口をついて出た言葉に、自分自身で驚いていた。
何が、大丈夫なのか。
そんな疑問を浮かべながら、それよりも、もうひとつの疑問が頭をよぎっていた。
なぜここが、わかったのか。