「前にふたりと戦った帰りに襲ってきた辻っていう人、憶えている?」
以前、雅樹に向けて発砲した男。
「それで俺は病院送りになったんだ、忘れるわきゃねーだろ」
病院送り!? という顔を向ける赤葉。それは心配してというよりは「有り得ない」という表情だった。
「あの人は、元々は私達のスタッフだった……違う、私達が元々彼と同じ場所にいた」
「前に言ってた……そう、天地生物科学工業ってとこだ」
……穂香さんがいたらカンニングし放題ね……。
「そう。そこをずっと見張っていたら、この前、何者かがそこから出て行って、ここに来た」
「それは、舞殿が来られた次の日のことか?」
「あいつのことか……」
奇声を発していた、APらしき男。
「APって、あんた達だけじゃなかったのか?」
「私達だけ。APの数は全部で5人、全て私達、ファインダウト社の管轄。その男、たぶんAPじゃない。辻が襲ってきた日のこと、憶えてる?」
「あのでかいゴリラみたいなのが……そうか、あれを人間に応用した……のがAPじゃないのか?」
「逆。本来、APの技術は人間専用。それを応用したのが、あの動物を改造したもの。その方が兵器として応用が利くと考えていたらしいけど。この技術を再び人間向けにしたもの、のようね」
「なんか遠回りだな」
「APのコアは、人間の理解の範疇を超えてるから……だから、その情報があるだけでは、それを元にAPを作ることは不可能。実際、作られなかったわけだから」
「? じゃあ辻ってのは、APを作るための情報も持ってるってことか?」
「……ファインダウト社から盗まれたの、情報が」
「盗まれたぁ?」
「ちょうどあの日、私達全員ファインダウト社から出ていたから」
「空き巣ね……」
「なるほど、あれはそれで作られた実験体第一号ってところか」
つい先日ここを襲った、あのAPらしき男。確かにその姿は、APとは違う異質なものだった。
「それで……」
リシュネはティーカップをソーサーに置いてから、言った。
「その盗まれた情報の中に、ここの場所が入っていたの」
以前、雅樹に向けて発砲した男。
「それで俺は病院送りになったんだ、忘れるわきゃねーだろ」
病院送り!? という顔を向ける赤葉。それは心配してというよりは「有り得ない」という表情だった。
「あの人は、元々は私達のスタッフだった……違う、私達が元々彼と同じ場所にいた」
「前に言ってた……そう、天地生物科学工業ってとこだ」
……穂香さんがいたらカンニングし放題ね……。
「そう。そこをずっと見張っていたら、この前、何者かがそこから出て行って、ここに来た」
「それは、舞殿が来られた次の日のことか?」
「あいつのことか……」
奇声を発していた、APらしき男。
「APって、あんた達だけじゃなかったのか?」
「私達だけ。APの数は全部で5人、全て私達、ファインダウト社の管轄。その男、たぶんAPじゃない。辻が襲ってきた日のこと、憶えてる?」
「あのでかいゴリラみたいなのが……そうか、あれを人間に応用した……のがAPじゃないのか?」
「逆。本来、APの技術は人間専用。それを応用したのが、あの動物を改造したもの。その方が兵器として応用が利くと考えていたらしいけど。この技術を再び人間向けにしたもの、のようね」
「なんか遠回りだな」
「APのコアは、人間の理解の範疇を超えてるから……だから、その情報があるだけでは、それを元にAPを作ることは不可能。実際、作られなかったわけだから」
「? じゃあ辻ってのは、APを作るための情報も持ってるってことか?」
「……ファインダウト社から盗まれたの、情報が」
「盗まれたぁ?」
「ちょうどあの日、私達全員ファインダウト社から出ていたから」
「空き巣ね……」
「なるほど、あれはそれで作られた実験体第一号ってところか」
つい先日ここを襲った、あのAPらしき男。確かにその姿は、APとは違う異質なものだった。
「それで……」
リシュネはティーカップをソーサーに置いてから、言った。
「その盗まれた情報の中に、ここの場所が入っていたの」